• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

文化財公開施設等における汎用的な高精度微生物汚染評価システムの構築に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23701016
Research InstitutionHistory Museum of Hokkaido

Principal Investigator

杉山 智昭  北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (90446310)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
KeywordsIPM / 微生物汚染 / 文化財
Research Abstract

文化財表面および文化財収蔵空間に発生するカビなどの微生物をLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法によって一律に検出するための基本情報の入手を目的とし、文化財あるいはその周辺環境に発生した微生物に関する過去の文献・資料の調査を行った。その結果、文化財汚染に関わる検出対象微生物のデータベースが整備されつつある。ここで得られた情報は本研究全体を支える基盤データとして活用されるものである。さらに北海道開拓記念館(札幌市)の展示室、資料収蔵庫、文献収蔵庫、および旧日本郵船株式会社小樽支店(小樽市)の展示室などの文化財公開施設において、資料・建物内装の表面拭き取りやダスト採集、平板培地を用いた落下菌捕集を通じて汚染にかかわる微生物相の解明に取り組んだ。上記の調査を通じてリストアップされた微生物についてはNCBI などの公開DNAデータベースの利用、あるいは塩基配解析を通じて配列情報の取得を順次行ってきた。得られたDNA配列情報をもとに、汚染を引き起こす微生物の一律検出に有効と考えられる標的DNA領域候補の選定を行った。次に標的DNA領域候補の増幅に最適と考えられるプライマーセットの設計を専用のソフトウェアを用いて行い、特異性と増幅効率を担保可能なセットの絞り込みを実施した。当該年度においてはAspergillus nigerをモデルとしてDNAの抽出を行い、LAMP法による増幅反応を試みた。その結果、目視にてDNAの増幅(濁度上昇)が確認されたが、反応液の濁度が低い傾向が示されたため、反応条件の調整もしくはプライマーセットの再設計を行った上で、増幅産物の分析を実施し、特異性の確認を行う必要性が認められた。 なお、本研究成果の一部については平成23年度文化財保存修復学会大会において発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度に計画していた「文化財表面および収蔵空間に発生する微生物種の基礎調査」については、文化財あるいはその周辺環境に発生した微生物に関する過去の文献・資料の調査、および文化財公開施設において、資料・建物内装の表面拭き取りやダスト採集、平板培地を用いた落下菌捕集を通じて汚染にかかわる微生物相の解明に取り組んだ結果、おおむね計画どおりのデータを得ることができた。またこれらの基礎調査を通じてデータベース化された微生物のDNA配列情報を公開DNAデータベースの検索、塩基配解析によって入手し、近縁種やアウトグループとの比較を行った結果、文化財汚染に関わるこれらの種を一律に検出可能とする条件探索について一定の目途を立てることができた。「LAMP法を用いた文化財を劣化させる微生物の簡易検出条件の探索」については、汚染を引き起こす微生物の一律検出に有効と考えられる標的DNA領域候補の選定を行い、増幅に最適と考えられるプライマーセットの設計した上で、モデル微生物(Aspergillus niger)のゲノムDNAに対してLAMP法による増幅反応を試みた。その結果、目視にて確認できる程度のDNAの増幅(濁度上昇)が認められたため、LAMP法を用いた微生物の簡易検出について次年度以降につながる道筋をつけることができた。以上の結果から、文化財公開施設等における汎用的な高精度微生物汚染度評価システムの構築を目的とした本研究の当該年度における目標はおおむね達成されたものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本研究については今後とも、おおむね当初計画に沿って推進していく予定である。実際の作業として次年度(平成24年)については今年度の研究によって明らかとなった課題(LAMP法における増幅効率の改善、検出対象となる微生物への特異性の担保)についてさらなる検討を行うとともに、「文化財表面および収蔵空間に発生する微生物種の基礎調査」、「LAMP法を用いた文化財を劣化させる微生物の簡易検出条件の探索」に関して引き続き調査を実施する。また、「蒸散性薬剤等が及ぼす影響の評価、および従来評価法との各種性能の比較」に関し、文化財や文化財収蔵環境において使用される蒸散性薬剤、殺菌剤、燻蒸剤の残留がLAMP法による微生物の検出に及ぼす影響について調査を行うこととする。最終年度(平成25年)については次年度の計画の進捗状況を勘案しつつ研究を進め、全体的なとりまとめを行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用する研究費については、試薬、菌株の購入にあてることとする(当年度内において、すでに発注済)。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 糸状菌の防除・発生抑制効果確認に関するモニタリング技術についての検討2011

    • Author(s)
      杉山智昭、小林幸雄
    • Organizer
      文化財保存修復学会第33回大会
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂
    • Year and Date
      2011-06-05

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi