2012 Fiscal Year Annual Research Report
氷河の可能性を秘めた飛騨山脈北部の万年雪の流動と内部構造の解明
Project/Area Number |
23701035
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Research Institution | 立山カルデラ砂防博物館 |
Principal Investigator |
福井 幸太郎 公益財団法人立山カルデラ砂防博物館, その他部局等, その他 (10450165)
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Keywords | 立山連峰 / 氷河 / 現存 / 三ノ窓雪渓 / 小窓雪渓 / 御前沢雪渓 / 流動 |
Research Abstract |
平成24年度は、5月末に剱岳・三ノ窓氷河でアイスレーダー観測を実施して、積雪深と氷厚を観測した。9月~10月に立山・御前沢氷河、剱岳・三ノ窓氷河、小窓氷河で前年から残置してある流動観測用ポールの再測量及びクレバスやムランの断面での積雪密度観測を実施した。また、剱岳・池ノ谷右俣雪渓でも、氷厚と流動の予備調査を実施した。 ①三ノ窓氷河では、中流部の氷厚が60mに達していることが新たに確認できた。三ノ窓氷河は国内最大規模の氷河であるといえる。 ②御前沢雪渓では、前年に残置しておいたポール6本のうち3本を確認できた。その位置をGPSで測量したところ、年間の流動速度は最大で30cm程度であることが分かった。三ノ窓氷河、小窓氷河では、残雪の量が多くて前年に残置したポールが出てこなかった。 ③御前沢氷河、三ノ窓氷河、小窓氷河のクレバスやムランの断面で密度観測を行った結果、積雪は1年以内に氷化することが確認できた。 ④池ノ谷右俣雪渓も厚さ40mの氷体を持っており、氷体は秋の一ヶ月間で最大15cm流動していた。このため、氷河の可能性が高いことが示唆された。 ④「飛騨山脈、立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動-日本に現存する氷河の可能性について-」と題する原著論文が平成24年5月発行の日本雪氷学会誌に掲載された。
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