2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱メチル化酵素PHF2の発現量変化と癌の悪性化との関連についての解析
Project/Area Number |
23701038
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡本 健吾 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (60437754)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン修飾 / rRNA転写 / jmjC / PHF2 |
Research Abstract |
リボソームRNA(rRNA)転写は細胞外シグナルに応答して緻密に制御されており、細胞の成長・増殖の制御に重要な役割を果たしている。リボソーム合成の第1段階はrRNA転写であり、これがリボソーム合成量決定の大きな要因となっている。rRNA転写量の調節は、細胞が正常に増殖するために必須である。また、rRNA転写量の異常は発癌に強く関係しており、癌化した細胞では異常なrRNA合成がみられ、無秩序な増殖が可能となる。 ヒストンのメチル化修飾はクロマチン状態を決定する主要なヒストン修飾の一つである。メチル化修飾の役割や修飾調節のネットワークは複雑であり、未知の部分が多々ある。近年、JmjCドメインを有するタンパク質がヒストン脱メチル化活性を持つことが明らかになり、ヒストンの脱メチル化による転写調節機構の解明が進んでいる。 JmjCドメインタンパクであるPHF2は、核小体に強く局在していることから、rRNA転写の制御因子として働くことが期待される。そこで本研究では、細胞株を用いてPHF2のRNAi干渉を行い、PHF2発現抑制による細胞への影響を解析した。その結果、PHF2ノックダウン細胞ではrRNA転写量の低下がみられることが明らかになった。さらにクロマチン免疫沈降法の結果から、PHF2はrRNA遺伝子のプロモーター上に存在することが分かった。 これらの結果から、PHF2はrRNA転写の正の制御因子であり、細胞増殖に必須な因子であることが示唆された。
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