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2012 Fiscal Year Research-status Report

B型慢性肝炎におけるTGFーBシグナル伝達機構の臨床応用

Research Project

Project/Area Number 23701039
Research InstitutionKansai Medical University

Principal Investigator

村田 美樹  関西医科大学, 医学部, 助教 (10533416)

KeywordsSmad3リン酸化 / B型慢性肝炎
Research Abstract

【背景】リン酸化Smad3シグナル伝達の視点から、B型慢性肝疾患症例に核酸アナログ療法を行い、ウイルス量が低下した後にリン酸化Smad3を介するシグナルがどのように変化したかを検討し、さらに抗ウイルス療法後のB型とC型慢性肝疾患の病態を比較した。
【方法】核酸アナログ治療を施行したB型慢性肝疾患27症例を対象に薬剤投与前、および投与52週間後に肝生検を施行した。投与前後の肝組織とSmad3のリン酸化・標的遺伝子発現を比較検討した。
【結果】核酸アナログ投与でHBV-DNA量の低下と炎症の改善に伴い、Smad3Lリン酸化ならびに標的遺伝子であるc-Mycの発現の著明な減少がみられ、抑えられていたpSmad3Cを介する癌抑制シグナルの復活を認めた。C型慢性肝疾患においてもIFN治療によってウイルスが消失した後にpSmad3LシグナルからpSmad3Cへのシグナルの変遷が見られた。抗ウイルス療法による肝線維化(F因子)の改善について検討した結果、B型慢性肝疾患ではF4からF1へ改善した症例もあり、平均1.0/ 年の割合で著明に改善した。一方C型慢性肝疾患ではF因子0.2/年の割合で緩徐な改善であった。さらにpSmad3Lを介する線維化・癌化シグナルは治療後にB型慢性肝疾患で1.0/年低下を示したが、C型慢性肝疾患では0.5/年に留まり、肝組織での線維化の改善を反映する結果であった。
【結論】核酸アナログ治療によりHBVウイルスの活動性と慢性炎症が終息すると、pSmad3Lを介する線維化・癌化シグナルは減弱し、pSmad3Cを介する癌抑制シグナルに回帰した。B型慢性肝疾患では抗ウイルス療法により、線維化進展例においても線維化・癌化シグナルが著明に改善するためにC型慢性肝疾患と比較して、より抗ウイルス療法が肝線維化の改善や発癌リスクの低下に寄与すると推測される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度はB型慢性肝疾患に対して核酸アナログ治療を施行した27症例、ならびにC型慢性肝疾患に対してIFN治療を行った31症例において治療前後の肝生検組織を用いて肝でのSmad3リン酸化につき免疫染色を中心に検討を行った。今年度はELISAにてリン酸化Smad3の定量化のシステムを構築し、また結果は出ていないがHBx導入肝細胞において核酸アナログ製剤添加時にSmad3リン酸化がどのような影響を受けるかの検討を行った。
さらに治療前後での検討症例を増やす方向で検討中である。
また急性肝障害時におけるSmadリン酸化シグナルについても検討した。急性肝障害時にはSmad2/3(Thr)リン酸化が肝再生時に重要であることが判明した。

Strategy for Future Research Activity

昨年に引き続きB型肝炎、C型肝炎に注目しその臨床的病態を細胞内のシグナル伝達の側面から解析したい。また結果は出ていないが、にin vitroでHBx導入肝細胞を用い、肝細胞でのSmad3リン酸化の検討を引き続き行う方針。
さらに昨年度に検討した急性肝障害時のSmadリン酸化については、データをまとめて論文等で報告したいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度に引き続き肝組織の免疫組織染色は追加で行う。In vitroでの検討として、HBx遺伝子をラット肝細胞(Clone9細胞)へ導入した細胞を用いてTGF-α刺激に伴うSmad3の部位特異的リン酸化について検討する。
さらに培養HBx導入肝細胞におけるSmad3リンカー部リン酸化阻害、あるいはJNK阻害剤によるSmad3リン酸化への影響についても検討する。さらに核酸アナログ製剤添加によるSmad3リン酸化の検討も加える。
その他急性肝障害時の肝臓組織標本は、急性肝障害時の再生に関わる肝星細胞がSmad2/3(Thr)のシグナル優位となっていることが判明したが、同じく検討を重ねたい

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Reversible or irreversible phospho-Smad2/3 signaling2012

    • Author(s)
      村田 美樹
    • Organizer
      TGF-βシグナル国際シンポジウム
    • Place of Presentation
      昭和薬科大学 東京
    • Year and Date
      20121029-20121030
  • [Presentation] B型慢性肝炎におけるTGF-βシグナル伝達機構の臨床応用2012

    • Author(s)
      村田 美樹
    • Organizer
      第48回日本肝臓学会総会
    • Place of Presentation
      全日空ホテル 金沢
    • Year and Date
      20120606-20120607

URL: 

Published: 2014-07-24  

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