2013 Fiscal Year Annual Research Report
B型慢性肝炎におけるTGFーBシグナル伝達機構の臨床応用
Project/Area Number |
23701039
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
村田 美樹 関西医科大学, 医学部, 助教 (10533416)
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Keywords | TGF-β / Smad3 / 部位特異的リン酸化Smad単クローン抗体 / 肝発癌 |
Research Abstract |
今年度はELISAにてリン酸化Smad3の定量化のシステムを構築した。システムの構築に関しては以前より当院にて採取していたC型慢性肝炎患者肝生検組織でまずは行った。 【背景・目的】TGF-βシグナルは肝線維化、発癌に関わる。我々は、C型慢性肝疾患において慢性炎症と肝炎ウイルスが「協調して」、Smad2ならびにSmad3リンカー部リン酸化(pSmad2/3L)を促し、線維化・癌化シグナルが伝達されると報告した。今回我々は、単クローン抗体を用いたELISAを新規に開発し、C型慢性肝組織中のpSmad2/3L(Thr179/220)を定量的に解析した。【方法・結果】pSmad2/3L抗原をマウスに免疫し、部位特異的リン酸化Smad単クローン抗体を作製し、この抗体を用いたELISA(サンドイッチ法)を確立した。肝癌切除症例9例の癌部と背景肝、対照群として転移性肝癌2例の非癌部から組織抽出液を作成した。この抽出液にあるpSmad2/3L量をELISAで定量した。またC型慢性肝炎(F1、F2、F3) 肝硬変(F4)、肝癌それぞれ20例、計100例の肝組織標本をpSmad2/3L抗体を用いた免疫染色で半定量的に解析した。pSmad2/3Lペプチドを含む標準液を10unit と設定し、標準曲線を作成した。ELISAにおけるSmad2/3リンカー部リン酸化は、肝疾患の進展に伴い亢進していた。この傾向は、免疫染色による半定量的な解析結果と相関した。【結語】部位特異的リン酸化Smad単クローン抗体は、C型慢性肝疾患からの線維化進展や発癌リスクを予測する新規バイオマーカーになることが期待される。B型肝炎については、当院での肝生検組織は未だ症例数が少なく、今後はB型慢性肝炎患者でも検討を重ねたいと思っている。
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Research Products
(3 results)