2012 Fiscal Year Annual Research Report
癌進展過程における癌幹細胞様細胞の出現をpRbが抑制する
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23701048
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北嶋 俊輔 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助教 (90566465)
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Keywords | Rb / p53 / Cancer stem cell / Inflammation |
Research Abstract |
がん抑制遺伝子Rb(retinoblastoma)の不活性化は、がんの悪性進展過程において頻繁に観察される。これまでに、p53が欠損した特定の腫瘍細胞において、Rbの不活性化により脱分化が誘導され、がん幹細胞様細胞が出現することがわかり、本研究ではこの分子機構を解明することで、Rb不活性化のがん悪性進展過程における意義を明らかにすることを目的とした。 まず、RNA sequenceにより、Rb不活性化により誘導されるがん幹細胞様細胞群の遺伝子発現を解析した結果、これらの細胞群ではIL-6、CCL2などケモカインを含む種々の炎症性サイトカインの発現が顕著に亢進していることを明らかにした。また、Rb不活性化細胞ではこれらサイトカイン群の細胞外への分泌が顕著に亢進しており、Paracrine型またはAutocrine型にサイトカイン群が作用することで、その下流シグナルであるSTAT3経路が活性化することが、Rb不活性化によるがん幹細胞様細胞の誘導に必須であることを明らかにした。さらに、C57BL/6背景野生型マウスへ皮下移植したp53 欠損繊維芽腫細胞の免疫組織染色による観察から、Rbが正常であるコントロール細胞由来の皮下腫瘍と比較して、Rb不活性化細胞由来の腫瘍形成部位では、マクロファージおよび好中球の遊走が著しく亢進していることを明らかにした。 これは、Rb不活性化が、がん細胞の幹細胞性獲得というCell autonomousな作用のみならず、Non-cell autonomousな作用を介して、がんの悪性化を促進することを意味する。これらの分子メカニズムをさらに解明することにより、Rbの新規機能の解明という生物学的意義に加えて、Rb 経路を標的としたがん創薬に新しい視点を提供することができる。
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