2011 Fiscal Year Research-status Report
FRETイメージングによるRas/ERKシグナル伝達系の系統的摂動解析
Project/Area Number |
23701052
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 一洋 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (80511427)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | FRET / シミュレーション / ERK |
Research Abstract |
H23年度は、上皮細胞増殖因子EGF-Ras-ERK MAPキナーゼ情報伝達系の数理モデル化とコンピューターシミュレーションによる数値解析を行った。所属研究室でこれまでに作成されていたモデル(Fujioka, JBC, 2006)に、さらに研究代表者が昨年度までに報告した以下の点を加えることで、改良を施した。(1)ERKのプロセッシブリン酸化モデル(Aoki, PNAS, 2011)を採用し、さらに30個以上の実測パラメーターを導入した。(2)Ras-Rafの足場タンパク質Shoc2の反応促進モデル(Matsunaga-Udagawa, JBC, 2010)を採用し、実測パラメーターを導入した。(3)ERK-Sos1の多重リン酸化による負のフィードバック制御機構モデル(Kamioka, JBC, 2010)を採用し、そこで報告した実測パラメーターを導入した。これらの3点の改良を基に、数値シミュレーションを行った結果、これまでHeLa細胞で得られていたEGFRやRas, ERKのリン酸化反応のダイナミクスがより定量的にシミュレートできたが、まだ実験結果との差異が少なからず残っていることが分かった。これは、モデルに含まれていない隠れたフィードバックや他の制御因子があることを示唆していた。そこで、これらを明らかにするために、shRNAによるRas-ERK情報伝達系に関与する分子の網羅的なノックダウンを計画し、shRNAのライブラリーの入手と性能確認まで行った。また、Ras, ERK, EGFR, S6K, PKA, JNKの分子活性をFRETイメージングにより可視化する安定細胞株を樹立した。さらに、FRETイメージングのデータを効率的に解析できるように、画像解析プログラムを作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションによる問題点の抽出、shRNAライブラリーによるノックダウン実験の確認、安定細胞株の樹立と、おおむね研究計画書に記述したことまで達成できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、Ras, ERK, EGFR, S6K, PKA, JNKの分子活性をFRETイメージングにより可視化する安定細胞株を樹立できたので、shRNAによりRas-ERK情報伝達系に関与する分子を網羅的にノックダウンし、Ras, ERK, EGFR, S6K, PKA, JNKの分子活性にどのような変化が起こるかを画像解析により定量解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養、および顕微鏡イメージングに用いる試薬やプラスティックディッシュ等に用いる。また、画像解析やプログラミングに必要なソフトウェアや書物を購入する。
|
Research Products
(7 results)