2012 Fiscal Year Research-status Report
FRETイメージングによるRas/ERKシグナル伝達系の系統的摂動解析
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23701052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 一洋 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (80511427)
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Keywords | FRET / Ras / イメージング / シミュレーション / ERK |
Research Abstract |
H24年度は、昨年度解析した上皮細胞増殖因子EGF-Ras-ERK MAPキナーゼ情報伝達系の数理モデルとコンピューターシミュレーション結果をもとに、shRNAや阻害薬による摂動を行い、モデルに含まれていない隠れたフィードバックや他の制御因子を同定することを試みた。EGFR, Ras, ERK, S6K, PKA, JNKのFRETバイオセンサーを安定的に発現するHeLa細胞株を樹立し、EGF刺激と阻害薬を組み合わせたタイムラプスイメージングを行った。その結果、いくつかのフィードバック反応やクロストークが観察された。一例をあげると、ERKからEGFRへの負のフィードバック、PI3KからERKへの正のフィードバック、ERKからTSCへの負のクロストーク、RhebからRafへの負のクロストークなどである。これらの複雑な回路をさらにshRNA実験により検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度度に行ったシミュレーションによる問題点の抽出、shRNAライブラリーによるノックダウン実験の確認、安定細胞株の樹立といった結果をもとに、24年度は阻害薬による網羅的な摂動とそのイメージングを行った。さらに、このイメージング結果から、フィードバックやクロストーク反応を見出すことに成功しており、おおむね研究計画書に記述したことまで達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、上記の結果をもとに、上皮細胞増殖因子EGF-Ras-ERK MAPキナーゼ情報伝達系のシミュレーションモデルを更新し、実験結果のin silicoでの検証を行う。さらに、悪性腫瘍で報告されているRas-ERK系の遺伝子変異をシミュレーションモデルに導入し、どの阻害薬がもっとも腫瘍の成長を阻害するか、シミュレーションにより予測を行い、実際のがん細胞由来の培養細胞において検証する。さらなるイメージングの効率化のための顕微鏡系の改善を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養、および顕微鏡イメージングに用いる試薬やプラスティックディッシュ等に用いる。また、画像解析やプログラミングに必要なソフトウェアや書物を購入する。網羅的なイメージング系の構築のために必要となる機器を購入する予定である。
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Research Products
(6 results)