2011 Fiscal Year Research-status Report
NDRG2に着目した癌におけるPI3K/Aktシグナル伝達異常の解明
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23701061
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中畑 新吾 宮崎大学, 医学部, 助教 (80437938)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | NDRG2 / PTEN / PI3K/AKT / がん |
Research Abstract |
ATLの統合的ゲノム解析から単離したNDRG2が、ATL細胞でプロモーターのメチル化により転写抑制され、PTENのC末端 (S380/T382/T383)のリン酸化を介してPI3K/AKT情報伝達系の活性化に関与することが明らかになった。様々な固形腫瘍でNDRG2はプロモーターのメチル化により転写抑制されていることが知られることから、今回PTENのリン酸化制御の異常がPI3K/AKT活性化に関与するかを検討した。膵臓癌(KLM1, PK9, PK45P)、肝臓癌(HepG2, HuH7)、神経芽細胞腫(NH6, NH12)、胃癌(MKN28, KATOIII)、口腔癌(SAS, Ho1u1)細胞株を用いたウェスタンブロット解析で神経芽細胞腫を除いた全ての細胞株においてNDRG2の発現低下に伴い、活性を負に制御するPTENS380/T382/T383のリン酸化の亢進、並びにAKTの活性化の指標であるAKTS473のリン酸化の上昇が認められた。次に、膵臓癌、口腔癌の細胞株を用いてNDRG2安定発現株を樹立しPI3K/AKT系の活性化について検討した。これらのNDRG2発現細胞株はPTEN並びにAKTリン酸化の顕著な減少が認められ、さらに細胞増殖能について調べたところ、NDRG2発現株は対照株と比較して細胞増殖の有意な遅延が認められた。以上のことから、癌細胞におけるNDRG2の発現低下はPTENのリン酸化を促進させ、PTENの不活化をもたらしAKTの活性化に貢献することが考えられた。さらに遺伝子変異について解析したところ、PTENの変異は認められず、またNDRG2の変異が口腔がん細胞株1例においてのみ認められた(A336S)。従って、ATLを含む多くの癌においてPTENの恒常的リン酸化はPTENの不活性化さらにPI3K/AKTの活性化において重要な役割を果たすことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究において、1)様々な固形癌で NDRG2発現低下とPTENのリン酸化、PI3K/AKT活性化との関連を明らかにできたこと、つまり大半の癌においてNDRG2の発現低下はPTENのリン酸化の亢進、AKTの活性化をもたらすことを確認できたこと、2)NDRG2の発現量を正常のレベルに戻すことにより、AKTの異常な活性化、及び細胞増殖を抑制することができることを証明できたことから、ATLや固形腫瘍でみられるPI3K/AKT情報伝達系の活性化異常にNDRG2発現異常に伴うPTENリン酸化が関与することが明らかになり、初年度の目標レベルにおおむね到達していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
NDRG2欠損マウスを用いてNDRG2ががん抑制遺伝子として働くかを検討する。ヘテロ、ホモ欠損マウスで顕著な腫瘍形成の促進が認められたことから、これらマウスの表現型の病理学的解析を進めるとともにNDRG2欠損による腫瘍発生の分子メカニズムをPI3K/AKT情報伝達系に着目して解析する。また、NDRG2がPTENのリン酸化を負に制御することが明らかになったが、その作用機序については未解決であることから、NDRG2によるPTENリン酸化の制御機構についての解析も合わせて行い、NDRG2発現低下に依存したPI3K/AKT情報伝達系の活性化機構を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NDRG2欠損マウスの解析を行うにあたり、これまでの分子生物学実験に係る消耗品費に加え、欠損マウスの病理学的解析に係る消耗品費が必要経費となる。また、学会で研究成果を報告するために必要な出張経費を計上する。
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