2012 Fiscal Year Research-status Report
アルキル化DNA損傷に応答したアポトーシスシグナルの分子機構の解明
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23701065
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
藤兼 亮輔 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (20581713)
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Keywords | アポトーシス / 遺伝子トラップ法 / アルキル化剤 |
Research Abstract |
レトロウイルスを用いた遺伝子トラップ法によって作成したマウス細胞遺伝子破壊ライブラリーより、新規アポトーシス関連遺伝子MAPO2を同定した。ヒト子宮頸癌ゆらいのHeLaMR細胞株において、MAPO2遺伝子発現抑制株を作成し、アルキル化損傷に応答したアポトーシスにおける機能を解析した。 MAPO2の遺伝子発現抑制株は野生株と比べ、アルキル化剤であるMNUによって引き起こされるアポトーシスが抑制されていた。アポトーシス経路にどのように機能するかを詳細に調べるため、種々のアポトーシスマーカーを指標に解析したところ、アポトーシス促進性BAKタンパク質の活性化、ミトコンドリア膜の脱分極、カスパーゼ3の活性化などが顕著に抑制されていた。一方で、MAPO2遺伝子発現抑制ではMNU処理後の細胞周期チェックポイント応答には異常が見られないことから、MAPO2はチェックポイント応答後のアポトーシス発動において機能していることが示唆される。MAPO2がどのように活性化されるのかは未だに不明であるが、相互作用因子の同定など、MAPO2を起点にしてアルキル化損傷に応答したアポトーシスの分子機構の解析をすすめることができると考えている。 マウス、ヒト細胞など、生物種、細胞種に依存しない実験系の構築のため、新しいゲノム編集技術であるTALEN法とその活性評価法など実験に必要な技術を導入した。これによって特定遺伝子のノックアウトやターゲティングが自在になり、アポトーシス関連遺伝子の解析をさらに推し進めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規アポトーシス関連遺伝子MAOP2を同定、解析した。この内容を国際学会、学術論文で発表した。 遺伝子トラップ法の改良、ゲノム編集技術としてTALEN法も導入し、さらなる新規アポトーシス関連遺伝子の同定と解析もすすめることができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
TALEN法を用いた遺伝子破壊とトランスポゾンを用いた遺伝子トラップ法を用いて、スクリーニング系を改良する。これによって擬陽性の排除と効率よい変異導入が行えるため、更なるアポトーシス関連遺伝子の同定を見込める。同定した遺伝子はヒト細胞においてTALEN法を用いてノックアウトして解析し、これまでのsiRNAをもちいて遺伝子発現抑制より正確な実験結果を得る。さらに、損傷塩基を持つDNAを調製し、in vitroでも損傷塩基特異的結合因子の同定と解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類、培養細胞用培地、血清、抗体、合成オリゴヌクレオチドなどの消耗品を購入する。
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Research Products
(2 results)