2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体内でのRas発がんに対する転写因子Bach1の機能解析
Project/Area Number |
23701066
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Research Institution | 公益財団法人がん研究会 |
Principal Investigator |
坂原 瑞穂 公益財団法人がん研究会, がん研究所細胞生物部, 研究員 (00572314)
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Keywords | Ras発がん / Bach1 / 皮膚扁平上皮がん / 膵臓がん / マウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトのがんで最も高頻度に活性化変異が同定され、Ras発がんモデルマウスの系が確立している皮膚と膵臓に焦点を絞り、p53依存性細胞老化の亢進がみられるBach1に着目し、生体内におけるRas発がんの過程を明らかにすることである。 1.皮膚扁平上皮がん(SCC)発症モデルマウスを用いたBach1の機能解析 平成23年度に得られたマウス[遺伝的背景に関して、ptch遺伝子近傍のみがFVB/FVB系統のK5-Hrasトランスジェニック(Tg)マウス]について、Bach1の欠損が、腫瘍の発生頻度や発生部位・発生時期に影響を及ぼすのか検討した。 まず、生後4週までのSCC発症の割合は、Bach1 +/+:+/-:-/- = 75%(12匹中9匹):50%(20匹中10匹):43%(7匹中3匹)であった。また、腫瘍の発生部位は、Bach1を欠損しても変化は認められなかった。さらに、生後20ヶ月までに、残りの全てのマウスもSCCを発症した。一方、ptch遺伝子近傍のみがFVB/B6系統のK5-Hras Tgマウスでは、生後4週以降のSCC発症が大部分を占め[Bach1+/+:+/-:-/- = 93%(15匹中14匹):100%(26匹中26匹):92%(13匹中12匹)]、発生時期はFVB/FVB系統と比較して遅かった。また、発生部位は、Bach1の欠損に関わらず、大部分が耳に限局していた。以上のことから、K5-Hras Tgマウスの遺伝的背景を、ptch遺伝子近傍のみをFVB/FVB系統にすることで、より早期にSCCの発症を誘導できることが示唆された。なお、本研究に用いたモデル系では、Bach1の欠損による腫瘍の発生頻度・発生部位等に明らかな違いは認められなかった。 2.膵臓がん発症モデルマウスを用いたBach1の機能解析 平成23年度に得られたマウスの経過観察を引き続き行った。
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