2011 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境における小胞体ストレス応答制御薬剤の作用機序の解析
Project/Area Number |
23701067
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 さかえ 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20335491)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 腫瘍微小環境 / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
小胞体ストレス応答(unfolded protein response; UPR)は、低酸素・低栄養等の腫瘍微小環境における細胞の適応応答のひとつであり、細胞のストレス耐性と生存に寄与し、がんの悪性化や抗がん剤耐性の一因となっている。近年、UPRを抑制する化合物による抗腫瘍効果が報告され、UPRは治療の新しい分子標的として期待されている。しかし、UPRの阻害が、がん細胞及びがん間質細胞を含めた腫瘍微小環境にどのように影響しているのかは明らかになっていない。本研究では、生体内で腫瘍微小環境におけるUPR阻害の影響を明らかにすることを目的とし、平成23年度には、UPRの活性化及びストレス領域を検出するin vivo実験系の構築を行った。1)腫瘍移植マウスモデルの検討:C57BL/6にLewis肺がん由来3LL細胞及び胸腺腫由来EG7細胞を皮下移植し、移植細胞数及び腫瘍の増殖速度を検討した。腫瘍におけるUPRマーカー遺伝子GRP78の発現上昇、転写因子XBP1のスプライシングを定量PCRにより解析し、UPRの活性化が起こっていることを確認した。また、flow cytometryにより、腫瘍内にCD45, CD11b, CD4, CD8, Gr-1, Ly6C等の表面マーカーを発現する多数の免疫細胞が浸潤していることが明らかになった。2)UPRの活性化を検出するレポーターシステムの構築:XBP1遺伝子の小胞体ストレス特異的スプライシング部位の下流にGFP及びルシフェラーゼ遺伝子を融合したレポーター遺伝子を作成し、ツニカマイシン、タプシガルジン等によるUPR誘導条件下で活性化を検出できることを確認した。これらの安定発現株を作成するため、レンチウイルスによる遺伝子導入系を立ち上げ、3LL, EG7細胞にレポーター遺伝子を導入し、移植後の増殖を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が平成23年7月に所属研究機関を移転し、実験に必要な設備及び機器を確保するために遅延が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
所属研究機関の移転により遅延が生じたが、平成23年度中に実験に必要な設備及び機器を確保し、腫瘍移植マウスモデルの検討及びレポーターシステムの構築を遂行した。これらを使用し、平成24年度は、1)腫瘍移植マウスモデルにおけるUPR活性化の検出2)腫瘍微小環境にある細胞の遺伝子発現解析を進める。マイクロアレイ解析、組織切片標本の作製や動物実験など、実験の一部に関して受託解析や研究支援活動への依頼を検討し、遅延を解決するよう努める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、担がんマウスモデルを用いた解析を行う。実験動物の購入及び飼育には多額の費用が必要となるため、所属研究機関の協力により実験を進める。また、マイクロアレイ解析用チップ及びflow cytometry解析に用いる抗体は高価であり、蛋白質解析や細胞培養等も含め、実験に使用する消耗品を調達するために研究費の大部分を使用する。
|