2012 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境における小胞体ストレス応答制御薬剤の作用機序の解析
Project/Area Number |
23701067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 さかえ 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20335491)
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Keywords | 腫瘍微小環境 |
Research Abstract |
小胞体ストレス応答(unfolded protein response; UPR)は、低酸素・低栄養などの腫瘍微小環境における細胞の適応応答のひとつであり、がんの悪性化や抗がん剤耐性の一因と考えられている。近年UPRを抑制する化合物による抗腫瘍効果が報告され、UPRを分子標的としたがん治療法の研究が進められている。本研究では、腫瘍微小環境におけるUPR阻害の影響を明らかにすることを目的とし、担がんマウスを用いてUPRの活性化及び腫瘍のストレス領域を検出する実験系を構築した。小胞体ストレス特異的にスプライシングを生じる転写因子XBP1を利用したレポーター遺伝子をLewis肺がん由来3LL細胞に安定発現させ、C57BL/6マウスに皮下移植したところ、腫瘍の成長に伴い腫瘍内部にUPR活性化細胞が増加することが示された。次に低酸素組織をHypoxyprobeにより標識し、腫瘍浸潤細胞をフローサイトメトリーにより解析した結果、CD11b陽性、Gr-1弱陽性、F4/80陽性のマクロファージの数が腫瘍の成長とともに増加しており、低酸素領域ではLy6C陽性に比べLy6C弱陽性のマクロファージの割合が多い傾向が見られた。がん細胞及び浸潤細胞における低酸素領域での遺伝子発現変化を明らかにするため、それぞれをセルソーターにより単離しマイクロアレイ解析した結果、マクロファージでもUPRや低酸素応答に関連する遺伝子が活性化していることが明らかになった。低酸素領域のがん細胞においてはVEGF、マクロファージにおいてはIL-10、MMPsなどの発現が亢進していたが、これらの遺伝子の発現誘導の一部はUPR阻害剤活性をもつビグアナイド化合物により抑制されることが示された。
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