2012 Fiscal Year Research-status Report
可溶型CD155による癌免疫逃避機構の解明と新規癌診断・治療法開発のための研究
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23701072
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井口 研子(間中研子) 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50575644)
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Keywords | CD155 / DNAM-1 / 腫瘍免疫 / 免疫逃避 |
Research Abstract |
1 可溶型CD155による癌免疫逃避機構の解明 (1)マウスin vivo解析:マウスMethA細胞株に遺伝子導入を行い、可溶型CD155産生MethA細胞とMock MethA細胞を作製し、野生型マウスに移植したところ、可溶型CD155産生細胞はほぼ全てのマウスで腫瘍が増大したのに対し、Mock細胞は8割以上のマウスで腫瘍が拒絶された。これらの細胞をDNAM-1遺伝子欠損マウスに移植したところ、両者ともほぼすべてのマウスで腫瘍が増大し、NOD/Scidマウスに移植した場合も同様であった。これらはin vivoにおいて可溶型CD155が癌免疫逃避に関与していることを示す重要な結果である。 (2)マウスin vitro解析:上記の結果を in vitroにおいても示すため、MethA特異的CTLを誘導して可溶型CD155産生MethA細胞に対する細胞傷害活性の解析を行ったところ、Mock MethA細胞に対してと比較すると細胞傷害活性が弱いという傾向を得た。 2 可溶型CD155の新規腫瘍マーカーとしての有用性の検討 卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、乳癌、肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆管癌、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの癌患者血清、約200例を用い、sandwitch ELISA systemにより可溶型CD155濃度を解析したところ、健常人と比較して癌患者血清では可溶型CD155濃度が有意に高いという結果を得た。また癌患者血清の治療前後の可溶型CD155濃度を解析したところ、治療後に有意に低下するという結果を得た。これらの結果は血清可溶型CD155濃度が腫瘍マーカーとして有用である可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
可溶型CD155による癌免疫逃避機構の解明については、マウスを用いた実験がほぼ順調に進んでおり、期待するようなデータが得られている。また可溶型CD155の新規腫瘍マーカーとしての有用性の検討についても、患者血清の収集・解析が順調に進み、可能性のあるデータを得られている。 一方で、可溶型CD155を標的とした新規分子標的治療法の検討については、抗可溶型CD155特異的抗体の作製に難渋している。 以上より、本年度までの達成度はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、可溶型CD155の新規腫瘍マーカーとしての有用性の検討を主に進める。本年度の解析で得られたデータを用いて多方面からの統計解析を行い、場合によっては患者検体の収集解析を追加し、より有用なものとなるよう検討を進める。可溶型CD155を標的とした新規分子標的治療法の検討についても本年度に続き進めていく。 さらに次年度は、得られた結果を取りまとめ、研究成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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