2012 Fiscal Year Annual Research Report
免疫アジュバント受容体シグナルによる癌細胞死とオートファジー
Project/Area Number |
23701074
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
原嶋 奈々江 島根大学, 医学部, 助教 (60345311)
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Keywords | 癌 / 免疫 / オートファジー / アポトーシス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Toll様受容体(TLR) は癌に対する適応免疫の誘導において重要な役割を担っており、癌免疫療法への応用が期待されている。一方、オートファジーは本来、栄養飢餓やストレス応答で細胞内環境を維持し、細胞生存に重要な役割を果たしているが、近年抗腫瘍効果との関連において注目されている。本研究では、免疫アジュバント受容体シグナルが癌細胞死や増殖抑制あるいは治療抵抗性に及ぼす影響と、オートファジーの癌細胞死に対する役割を解明することを目的とした。エンドソーム受容体TLR3及び細胞質内受容体MDA-5のリガンドであるpoly(I:C)との共培養により、一部のヒト前立腺癌細胞株でAkt/PI3K経路の抑制が関与した細胞死が誘導されることを明らかにした(Harashima N, et al. Cancer Immunol Immunother, 2012)。また、ヒト乳癌細胞株の細胞質内にpoly(I:C)を導入すると、caspase依存性のアポトーシスを生じ、同時にオートファジーが誘導された。オートファジー関連遺伝子Beclin-1をRNA干渉で抑制するとアポトーシスが促進した。担癌マウスモデルで、癌局所へpoly(I:C)導入後、癌増殖が有意に抑制された(Inao T, et al. Breast Cancer Res Treat, 2012)。さらに、ヒト腎癌細胞にpoly(I:C)を細胞内導入すると、caspase-8依存性のextrinsicアポトーシスとともに、活性酸素種産生に伴ったミトコンドリアとcaspase-9依存性のintrinsicアポトーシスも誘導された。これらの成果より、poly(I:C)によるアジュバント受容体刺激は、癌細胞に対する抗癌効果と免疫賦活を同時に誘導するのに有効であることや、治療抵抗性の獲得にオートファジーが重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)