2012 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory T細胞制御を基盤とした癌ワクチン療法の新展開
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23701075
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90549734)
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Keywords | 癌免疫療法 / 制御性T細胞 / VEGFR2 |
Research Abstract |
我々は血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)が腫瘍新生血管に高発現していることに注目し、VEGFR2由来エピトープペプチドによる腫瘍新生血管を標的とした癌ペプチドワクチン療法の第I相臨床試験を行い、安全性と高率なVEGFR2特異的CTLの誘導を報告した(Cancer Sci. 101:433-9 2010)。一方、抗腫瘍効果の妨げとなる制御性T細胞(Treg)にVEGFR2が高発現しており、Treg制御の標的となる可能性が報告された(Eur.J.Immunol. 40:197-203 2010)。本研究はVEGFR2特異的CTLによるTregの制御について検証し、TregのVEGFR2を介したシグナルの機能解析を行い、VEGFR2特異的CTLが腫瘍新生血管のみならず、Tregも制御し、強力な抗腫瘍効果を発揮できることを証明する。本年度は前年度に引き続き、VEGFR2特異的CTLの制御性T細胞(Treg)に対する細胞傷害活性の検討を進めた。健常人PBMCからVEGFR2特異的CTLの誘導が可能であることを確認したのち、VEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対する細胞傷害活性についての検討を開始した。まず,標的となるVEGFR2+FOXP3+CD4+T細胞の誘導を試みた。autoMACSでselectionしたCD4+T細胞をIL-2,anti-CD3 抗体, anti-CD28抗体,TGF-βを添加し,培養した後、FACSでVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregのsortingを行った。十分量の標的細胞を安定して確保した後、Chromium-release assay 用いた細胞傷害活性について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人PBMCから単球を分離し,成熟化Human DCを誘導し,これにVEGFR2由来エピトープペプチドパルスしたものをstimulatorとし,CD8+T細胞からの特異的CTLの誘導を試みた。VEGFR2を内因性に発現させたtargetに対する細胞傷害活性を4h-Chromium-release assayで評価した結果,VEGFR2特異的な細胞傷害活性を認めた。VEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対する細胞傷害活性についての検討において,前年度は標的細胞であるVEGFR2+FOXP3+CD4+Tregが十分量得られなかったが、現在培養方法等について検討し、標的細胞を安定して確保できた。現在Chromium-release assay 用いた細胞傷害活性について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
VEGFR2特異的CTLのTregに対する細胞傷害活性が証明できれば,次にVEGFのTregの機能に関する検討に移る。すなわち,VEGFR2を介したTregへのシグナルが,抗腫瘍免疫に抑制的に作用することを証明する。具体的にはagonist抗体をTreg上のVEGFR2に結合させることで,Treg細胞内のTGF-β,IL-10といった免疫抑制性のcytokineの発現が増強するかについて細胞内cytokine染色を行いFACSで解析する。Treg関連活性化マーカー(CTLA-4),Treg誘導に関与する転写因子解析(STAT3,SMAD2/3)についてもmonoclonal抗体で染色し,FACSで解析する。TregのapoptosisについてもAnnexin V抗体を用いてFlow cytometryで解析する。Tregマスター遺伝子FOXP3の発現は定量的にreal time PCRで検討する。Treg-mediated suppression assay でTregのCD4+CD25negT細胞に対するapoptosis誘導能のみならず,cell to cell suppressionの誘導についても評価する。いずれの系もVEGFR2agonist投与の有無で比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究物品としては各種抗体、TGF-β,IL-10といったcytokineのほか、FACSやPCRのrunning costを要する。また、研究成果の発表のため、学会参加費や旅費に使用する予定である。
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