2013 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory T細胞制御を基盤とした癌ワクチン療法の新展開
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23701075
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮澤 基樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90549734)
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Keywords | Regulatory T cell / VEGFR2 |
Research Abstract |
和歌山県立医科大学外科学第2講座では血管内皮細胞増殖因子受容体2(vascular endothelial growth factor receptor 2:VEGFR2)が腫瘍新生血管に高発現していることに注目し、VEGFR2由来エピトープペプチドによる腫瘍新生血管を標的とした癌ペプチドワクチン療法の第I相臨床試験を行い、安全性と高率なVEGFR2特異的CTLの誘導を報告した(Miyazawa et al. Cancer Sci. 101:433-9 2010)。一方、抗腫瘍効果の妨げとなる制御性T細胞(Regulatory T cell:Treg)にVEGFR2が高発現しており、Treg制御の標的となる可能性が報告された(Eur.J.Immunol. 40:197-203 2010)。本研究はVEGFR2特異的CTLによるTregの制御のメカニズムについて検証するため、VEGFR2特異的CTLが腫瘍新生血管のみならず、Tregも制御することが可能かどうか基礎的検討を行った。標的となるVEGFR2+FOXP3+CD4+T細胞の誘導した後、Chromium-release assay 用いた細胞傷害活性について検討した。その結果、コントロール標的としたVEGFR2-FOXP3+CD4+Tregと比較して、VEGFR2+FOXP3+CD4+Tregに対して有意な細胞傷害活性の増強効果を認めなかった。 考察として、Tregの免疫抑制機能はTreg上のMHC Class Iの発現と相関することが報告されており、FOXP3の発現が強いほど、MHC Class Iも高発現しており、CD8+T細胞とTregのinteractionによりTregでのIL-10の産生が増強するすなわちTregの免疫抑制機能が増強することが示唆されている。FOXP3の発現強度に、Tregに発現したMHC Class I上のVEGFR2ペプチドをVEGFR2特異的CTLが認識できるかどうかも依存している可能性がある。したがって、今後はTregに対するVEGFR2特異的CTLによる細胞傷害活性もFOXP3の発現強度別に解析することが肝要で、その際のIL-10等免疫抑制性サイトカインの発現の差についても検討する必要がある。
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