2011 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎から肝癌発症機序の次世代シークエンサーを用いた解析
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23701082
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北本 卓也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定技術職員 (10456882)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 次世代シークエンス / 異所性脂肪蓄積 |
Research Abstract |
次世代シークエンサーが導入されたので、本年度はまず次世代シークエンサーの立ち上げを行った。次世代シークエンサーの技術確立のため、健康人のゲノムを用いてペアエンドとメイトペアでシークエンスを行った。ペアエンドは全ゲノム解析のために、メイトペアは染色体の構造異常検索のために必要である。実験条件をいくつか変えて、次世代シークエンスの技術を確立した。既存のソフトウエアを用いて、アライメントや多型解析など解析が出来ることを確認した。メチル化解析のためにはバイサルファイト処理が必要である。ゲノムのバイサルファイト処理を行い、アレイを用いてDNAのメチル化解析を行った。バイサルファイト処理の実験条件を確立した。非アルコール性脂肪肝炎のサンプルを392人収集し、OmniEpressのチップを用いてGWASを行った。コントロールとしてJSNPのデータベースを用いた。P値が0.0000001未満の領域を1ヵ所、0.00001未満の領域を数ヵ所同定した。非アルコール性脂肪肝炎はメタボリックシンドロームの肝臓での発現型の1つであると考えられている。メタボリックシンドロームでは内臓脂肪蓄積が重要であるが、最近は内臓脂肪蓄積は古典的な異所性脂肪蓄積で非アルコール性脂肪肝炎は広義の異所性脂肪蓄積であると定義されつつある。そこで、内臓脂肪蓄積に関わる遺伝子解析を行い、SH2B1が内臓脂肪蓄積に、CYP17A1とNT5C2が女性で内臓脂肪減少に関連していることを見出し報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーはこれまでのシークエンスとは異なり、技術的な修得が必要である。今年度に入り本研究室も次世代シークエンサーを使用できるようになったので、予備実験を行った。予備実験はかなりいい結果が出ており、技術的な問題は順調にクリアされている。非アルコール性脂肪肝炎のゲノムワイドな解析も進んでおり、肝臓癌を発症した症例に特徴的な遺伝子多型も検索しており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンスの予備実験が終了したので、非アルコール性脂肪肝炎から肝臓癌を発症した症例の全ゲノム解析を行う。ペアエンドとメイトペアの両方を行う予定である。非アルコール性脂肪肝炎のゲノムワイドな遺伝子多型データがあるので、そのデータと比較し、肝臓癌を発症する遺伝的要因を検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シークエンサーの試薬(約100万円)で、>40xカバレッジで2サンプル分シークエンスできるので、非アルコール性脂肪肝炎から癌化した症例のゲノムをペアエンド、メイトペアで全ゲノムシークエンスを行う。ゲノムの構造変化などがないか解析する。GWASで392人分の解析ができたので、非アルコール性脂肪肝炎の症例をさらに収集する。非アルコール性脂肪肝炎の症例を約50人、一般集団のゲノムを約900人収集しているので、上位30か所の候補部位に関してインベーダー法で解析する。追加症例のケース・コントロール解析で候補部位を絞りこむ。また、非アルコール性脂肪肝炎の進行度(線維化)に関連したローカスを検索する。候補領域のSNPを追加サンプルで確認する。インベーダーでの解析に約30万円を充てる。約20万円を用いて、同定された遺伝子の組織分布の検討、非アルコール性脂肪肝炎の進行による肝臓での発現量の変化などを検討する。旅費(学会出席、発表)に約10万円をあてる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Association between type 2 diabetes genetic susceptibility loci and visceral and subcutaneous fat area as determined by computed tomography.2012
Author(s)
Hotta K, Kitamoto A, Kitamoto T, Mizusawa S, Teranishi H, So R, Matsuo T, Nakata Y, Hyogo H, Ochi H, Nakamura T, Kamohara S, Miyatake N, Kotani K, Komatsu R, Itoh N, Mineo I, Wada J, Yoneda M, Nakajima A, Funahashi T, Miyazaki S, Tokunaga K, Masuzaki H, U
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Journal Title
J Hum Genet
Volume: 5
Pages: 305-10
DOI
Peer Reviewed
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