2011 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞の薬剤耐性診断に向けた絶対定量プロテオーム解析基盤の構築
Project/Area Number |
23701084
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武森 信暁 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 研究員 (40533047)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 絶対定量プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)がん関連タンパク質に特化した安定同位体標識タンパク質ライブラリー(OncoSIRPL)を新たに構築し、(2)ライブラリータンパク質を内部標準に用いた独自の高感度質量分析システムを確立することである。解析システムの高感度化は、培養系から微量生検試料へ段階的に進める。さらに、本開発システムによる抗がん剤耐性診断の実現に向けた情報基盤の整備もおこなう。 本年度は、OncoSIRPL構築に向けて安定同位体標識タンパク質の合成基盤を確立した。イオン化効率の高いペプチド配列を連結した人工合成遺伝子(QConCAT)による内部標準タンパク質合成法を導入し、各種がん関連タンパク質の大規模合成およびライブラリー化を現在進めている。今までに合成したタンパク質は97%以上の効率で安定同位体標識されており、質量分析計を用いた定量分析の内部標準に十分使用可能な品質であった。合成が終了したタンパク質に関しては、定量MRMアッセイのチャネル構築に必要となるMS/MSスペクトル情報の取得を終了している。また耐性診断の標的分子を新たに探索することを目的として、ヒト培養膀胱がん細胞を対象に、抗がん剤耐性株と非耐性株のプロテオーム成分の比較定量解析をおこなった。二次元ゲル電気泳動とLC-MSによる比較発現プロファイル解析により、耐性獲得に伴い発現量の変動するマーカータンパク質候補を多数検出することに成功している。今後は新たな耐性診断マーカー候補タンパク質の合成・ライブラリー化を進め、微量生検試料からのマーカー検出に向けて解析システムの最適化をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OncoSIRPLの構築に向けた基盤整備は計画通り終了しており、プロテオミクス解析による新規の薬剤耐性マーカー候補タンパク質も同定している。既知のがん関連タンパク質のライブラリー化に関しては、当初の目標数には届かなかったが、次年度に残りのライブラリー化を終了させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、OncoSIRPLライブラリーの構築を進める。また、がん関連タンパク質の生検試料における発現プロファイル解析に向けて、OncoSIRPLとMRM質量分析を組み合わせた絶対定量プロテオーム解析システムの構築を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費には、主に安定同位体標識タンパク質の合成・ライブラリー化に必要な試薬・消耗品費、質量分析用試薬を予定している。また研究成果の海外学会発表を行うために、旅費の使用も計画している。
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