2011 Fiscal Year Research-status Report
Vivo耐性株による血管新生阻害薬耐性メカニズムの解明
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23701089
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
木村 英晴 近畿大学, 医学部, 講師 (40444202)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 血管新生阻害薬 |
Research Abstract |
VEGF高発現の大腸癌細胞株であるDLD-1、中発現のWiDr、低発現のHT29を用いた。まず、直接毒性を評価するためにMTT法を行った。これらの細胞株では増殖能の抑制は認められず、直接毒性はないものと判断した。これらの細胞株をヌードマウスに移植し、腫瘍体積が150mm3程度となった段階でVEGFR2チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR2-TKI)投与群と非投与群に分けた。まずVEGFR2-TKIであるKi8751を20mg/kg/dayを4週間(5日間連続投与+2日間休薬)投与した(A群)。非投与群では、腫瘍体積が1000mm3程度になった段階で腫瘍組織を採取した。A群では、経過中腫瘍縮小を認め、腫瘍表面に肉眼で観察される血管が一時消失し、その後再び腫瘍表面に新生血管が観察された。投与群では投与開始4週後に腫瘍組織を採取した。より耐性化の特徴を有する腫瘍組織を採取する目的にて、10mg/kg/dayを4週間(5日間連続投与+2日間休薬)投与群(B群)、20mg/kg/dayを4週間(3日間連続投与+4日間休薬)投与群(C群)、20mg/kg/dayを4週間(3日間連続投与+4日間休薬)投与群(D群)に分けて行い、腫瘍組織を採取した。B群では、他の群と比較して腫瘍組織表面の新生血管がもっとも強く観察され、また投与開始縮小後の再増大を認めた。そのため、B群が耐性腫瘍組織の特徴を最も有していると判断した。これらの非投与群、A-D群から、腫瘍組織および血液を採取し、腫瘍組織は一部はホルマリン固定し保存している。腫瘍組織の残りの一部は一時凍結保存しDNAおよびRNAの抽出、cDNAへの変換を行い、DNAおよびcDNA溶液として保存している。また血液から血漿を分離し凍結保存している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担癌マウスを用いたVEGFR2チロシンキナーゼ阻害剤耐性化に成功し、耐性腫瘍組織の採取を行うことができた。それらから得られたパラフィン包埋腫瘍組織、DNA溶液、cDNA溶液、血漿の保存が完了している。そのため、次年度はこれらの検体を用いた各種測定をスムーズに開始することができ、次年度内に各種測定結果の解析と研究成果の学会発表および論文作成を予定通り行うことができるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
採取・保存されたVEGFR2-TKI耐性腫瘍組織とVEGFR2-TKI未投与腫瘍組織との差異を検討する。微小血管濃度を免疫組織染色法にて測定する。また、マイクロアレイを用いて未投与腫瘍組織と比較して耐性腫瘍組織において発現が増強ないし抑制される遺伝子群を特定する。その後、VEGFR2発現、VEGFなどの血管新生関連因子やマイクロアレイにて得られたVEGFR2チロシンキナーゼ阻害剤耐性因子候補について、免疫組織染色を用いて蛋白発現、定量的RT-PCR法を用いた遺伝子発現、定量的PCR法を用いた遺伝子増幅の測定を行う。これらの結果からVEGFR2チロシンキナーゼ阻害剤耐性因子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度予定している研究では、これまでに行われてきた研究方法・技術を利用するため、新たに設置を必要とする機器は予定していない。経費のほとんどは消耗品で占める。次年度は、主に各種測定・解析にかかる費用が多くを占め、具体的には、各種網羅的解析のために必要なチップの費用や免疫染色に用いる抗体や遺伝子発現や遺伝子増幅測定に用いられる各種酵素、プローブなどである。次年度は、研究成果を国内外の癌関連学会に発表する予定をしており、そのための旅費・また国外関連学会の抄録作成の際の英文校閲を必要とする。次年度の論文作成を目指しており、そのための英文校閲、投稿費用、印刷費を必要とする。
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