2012 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞性白血病新規発症予測マーカーおよび新規治療標的分子の探索
Project/Area Number |
23701090
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石原 誠人 独立行政法人理化学研究所, バイオマーカー探索・開発チーム, 特別研究員 (60581189)
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Keywords | 診断マーカー / プロテオミクス / 質量分析 / HTLV-1 / ATL / 治療標的 |
Research Abstract |
ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)はレトロウィルスの一種であり、本邦では約110万人の感染者がいると推定される。HTLV-1キャリアのうち2~5%は成人T細胞性白血病(ATL)及び脊髄症の一種であるHTLV-I関連脊髄症(HAM/TSP)を発症する。ATLは予後不良の白血病であるにもかかわらず、早期診断マーカーはなく、有効な治療法は十分であるとは言えない。本課題では、患者末梢血中でも特にHTLV-1陽性細胞が濃縮されているCD3+CD4+CD25+CCR4+サブセットに対する質量分析技術を用いた定量プロテオーム解析を行うことで新規早期診断マーカー及び病因細胞に焦点を絞った新規治療法の開発を目的として研究を行った。まず健常者6例、無症候キャリア5例、ATL9例、HAM/TSP9例の末梢血より、フローサイトメーターを用いてCD3+CD4+CD25+CCR4+サブセットを単離し、これらのサブセットより作成したトリプシン消化物をLC/MS/MS解析に供した。その後取得した質量分析結果をExpressionistプロテオームサーバーに転送し、必要なデータ処理後に検出された全14,064ペプチドに対し2段階の統計解析を行った。まずKruskal-Wallis検定(p = 0.01)により、1,107ペプチドを抽出後、続けて機械学習を用いた予測モデルを作成した結果、1,107ペプチド中91ペプチドを用いた予測モデルが最も良好 (誤答率8%)であった。この最も疾患特異的に変動するペプチド群である91ペプチドに対して同定作業を行った所、17ペプチドを診断マーカー・治療標的候補として同定するに至った。これらの結果はATLに対する新規早期診断マーカー・治療法開発に結び付く成果(Blood, Epub Ahead of Print)であり、現在臨床応用に向けた研究を行っている。
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Research Products
(5 results)