2012 Fiscal Year Annual Research Report
小型サイクロトロンを用いた生体高分子プローブ標識用長半減期RIの製造
Project/Area Number |
23701091
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金山 洋介 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (60435641)
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Keywords | 89Zr / RI製造 / 小型サイクロトロン / PET / 抗体イメージング |
Research Abstract |
近年研究の盛んな抗体PETイメージング法の開発において、我々は物理学的半減期12.7時間の64Cu標識による手法を確立してきた。しかしながら、血中滞留時間の長い抗体の体内動態について十分に解析するには、更に長時間の半減期を持つポジトロン放出核種の利用が求められる。そこで本年度は小型サイクロトロンによる半減期78.4時間の89Zrの製造法について検討を行った。64Cu製造用の既存固体照射装置に適用するため、まず酸化イットリウム粉末を金ディスク上に接着する手法の検討を行った。しかしながらこの手法で作製した酸化イットリウム層は容易に剥離し、照射に不適当であった。そこで次にY箔の状態で照射する手法を検討した。金ディスクを支持体とし、Y箔の固定法を検討することで新たな89Zr製造法を確立することができた。本手法は簡便であり、前年度まで検討を行った65Znの製造に関してもCu箔照射により実現可能であるなど、金属箔を用いた様々なRI製造に応用が可能と考えられる。この製造法により、0.1 mm厚のY箔に対し12 MeVのプロトン照射をビーム電流20μAで30分間行い、イメージングに十分な90 MBq以上の89Zrを生成することができた。次に、89Zrの精製と抗体への標識について検討を行った。ヒドロキサム酸基のキレート分離カラムを用いて89Zrを精製し、deferoxamineを結合した抗体に対し標識を行った。89Zr標識抗体による担がんマウスのPETイメージングを行った結果、投与後8日にわたって標的のがん部位に高集積が見られた。本研究により小型サイクロトロンによる金属箔ターゲット照射法を確立し、89Zr標識抗体イメージングに成功した。今後、更に89Zrの製造・精製・標識法について精度を高めるとともに、他の核種とも比較し、より有用な抗体イメージング法を検討していきたい。
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