2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチオミクス解析を利用したがん幹細胞特異的スプライシングバリアント探索法の開発
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23701092
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
畠山 慶一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20564157)
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Keywords | Splicing variant / Proteomics / Transcriptmics / Cancer stem cell |
Research Abstract |
本申請は、マルチオミクス解析を利用して、がん幹細胞特異的なバイオマーカーの新規探索技術を開発することを目的としている。前年度までに、がん幹細胞由来のタンパク質を効率よく同定できるマルチオミクス的手法を開発し、CD133陽性の大腸癌細胞株に特異的に発現している遺伝子またはタンパク質を同定することができた。 今年度は、がん幹細胞特異的な分泌型のバイオマーカーの同定を目指して、分泌タンパク質をターゲットとした新たな探索アプローチの開発を試みた。はじめに、がん細胞株の培養上清に対して、昨年度開発した新規なスプライシングバリアントとそのプロテインアイソフォームの探索システムを適応できるかを模索した。その結果、3種のバリデーションプロセスを経ることで、このシステムで分泌タンパク質の新規なアイソフォームを同定できることを示した。このプロテインアイソフォームは、細胞内にはほとんど存在せず、高転移能を有する細胞株では積極的に細胞外へ分泌されていることが示唆された。次に、ここで同定されたタンパク質群がバイオマーカーとして利用できる可能性を探るために、患者血清におけるこのタンパク質の存在量を調べた。その結果、同定されたタンパク質の1つが、健常人と有意に差があることを見いだした。今後、このタンパク質ががん幹細胞とどのような関連があるかを調査する予定である。 現段階では、同定された分子ががん幹細胞との関わりは未知の部分が多いが、バイオマーカーとしての有用性を評価中である。また、この分子の機能は未知の部分が多いため、その機能解析も同時に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請は、マルチオミクス解析を利用して、がん幹細胞特異的なバイオマーカーの新規探索技術を開発することを目的としている。 この技術を開発するためには、1. サンプルの前処理、2.解析手法の確立、3. 解析で得た候補分子のバリデーション、4.候補分子のマーカーとしての評価の4つを行なう必要になる。 初年度では研究計画通りに、1及び2を遂行した。この成果の一部は、査読付学術誌に掲載された(Proteomics, 2011, 11, p2275)。また、特許の出願も行なった(特願2011-179788)。さらに、この成果から派生した技術で新たなタンパク質抽出法も開発し、特許出願を行なった(特願2011-117334)。 本年度は、初年度に確立した解析手法の新たな応用を行い、そこから同定された候補分子のマーカーとしての評価を行っている。この成果の一部は、査読付学術誌に現在投稿中である。また、この成果から派生した技術は、査読付学術誌に掲載された(Proteome Science, 2012, 10, p19, BMC Research Notes, 2012, 5, p666)。 予定していた研究の遅延も認められるが、予想外の新たな進展もみられる。そのため本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階において、研究はおおむね順調に進展している。若干の方向転換と遅延があるが、今後は申請した研究計画に従い、研究を推進していく。 平成25年度は、バイオマーカーとしての有用性の評価を継続して行なう予定である。また、タンパク質ががん幹細胞とどのような関連があるかを調査する。それと同時に、この分子の機能は未知の部分が多いため、その詳細な機能解析も同時に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現段階において、研究はおおむね順調に進展している。若干の方向転換と遅延があるため、次年度の研究費は24年度に予定していた研究の一部と、追加実験に使用する。 具体的な使用計画としては、バイオマーカーとしての有用性の評価のための試薬・備品等の購入を予定している。さらに、機能解析に必要な試薬・備品等の購入も予定している。また、社会・国民に研究成果を発信するために、本研究で得られた成果の学会発表ならびに査読付雑誌への投稿等で生じた支出に研究費の一部を使用する予定である。
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[Presentation] 胃癌における新規スプライシングバリアントの臨床病理学的検討2012
Author(s)
山川 雄士, 谷澤 豊, 畠山 慶一, 坂東悦郎, 川村泰一, 徳永正則 , 絹笠祐介, 上坂克彦, 金本秀行, 望月 徹, 寺島雅典
Organizer
第84回日本胃癌学会総会
Place of Presentation
大阪国際会議場 (大阪府)
Year and Date
20120208-20120210
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