2012 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックEkerラットを用いたアミノ酸置換型Tsc2の機能解析
Project/Area Number |
23701095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩野 雅俊 東北大学, 大学病院, 助教 (10596266)
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Keywords | Tsc2 / Tuberin / Tumor suppressor gene / Tuberous sclerosis / Eker rat / Transgenic Eker rat |
Research Abstract |
Ekerラットの原因遺伝子は種々の腫瘍性病変を発生するヒト結節性硬化症(Tuberous Sclerosis;TS)の原因遺伝子(TSC2)のホモログである。TSの家系分析より、ヒトTSC2のG1556S変異はRheb-GAP-homologyドメインに変異を持ち、mTOR抑制能を失う変異であるにも関わらず、患者の症状が軽度であることが知られている。一方、N525S変異はmTOR抑制活性を保持するものの、発病に関わっていると考えられる。これらの変異体は、発病に関わるmTOR経路以外のシグナル伝達系を明らかにするための手がかりとなる可能性がある。我々は、Ekerラットの表現型に対するこれらの変異の影響を調べる為、変異Tsc2トランスジェニック(Tg)・Ekerラットの作製を進めた。研究期間全体での成果を以下に示す。 1.G1556S型変異のTgラットは複数個体得ることができたが、N525S型変異はTgラットを得ることができず、胎生致死を誘発している事が予想された。 2.N525S型変異Tgラットに関しては、Tg導入胚の解析により、N525S型変異Tgを保持する胎仔は胎生13.5日前後で急激に減少する事がわかった。これはEkerラットの変異TSC2アリルhomozygote個体の胎生致死の時期とほぼ一致し、N525S型変異による何らかの優性抑制的な影響を示唆させた。死亡直前の胎仔について、Tgを持たないホモ変異体との比較検討による組織学的解析を行なったところ、N525S型変異Tgでは特徴的な所見(論文投稿準備中、未発表データ)を認め、これが死因となっている可能性が見いだされた。 3.WT、G1556S型変異、N525S型変異それぞれの強制発現細胞において、各種シグナル伝達経路における特徴的な分子のリン酸化状態に関する網羅的解析を行い、幾つかの特徴的な変化を見出した(論文投稿準備中)。
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