2011 Fiscal Year Research-status Report
HER2をターゲットとした子宮内膜癌の新たな分子標的治療の開発
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23701097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 紀子 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30579660)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / HER2 / 分子標的治療薬 |
Research Abstract |
子宮内膜癌の若年女性への発生が増加しており、子宮温存可能な子宮内膜癌の治療の開発が求められている。子宮内膜癌において、HER2発現が、細胞内のシグナル伝達にどのように関わり、また、抗がん剤感受性、ホルモン療法、予後に影響しているのかについて検討することを目的とした。in vitro系で、子宮内膜上皮不死化細胞(EM-E6/E7/TERT cell)、子宮内膜癌細胞株(Ishikawa cell、HEC1A cell)において、siRNAを用いてHER2抑制系モデルを作成した。それぞれの細胞株においてのHER2抑制は、ウエスタンブロット法にて確認した。HER2の下流の細胞内シグナルとしてリン酸化AKTやFOXO1Aを候補として検討し、その発現の変化をウエスタンブロット法にて検討した。さらに、子宮温存療法として臨床的に使用されているホルモン剤のMPA及び抗癌剤(Paclitaxel、Cisplatin等)の感受性に影響しているのかについて、cell count およびWST-1 assayにて検討した。また、HER2をターゲットとした分子標的治療薬(Trastuzumab)とMPAや抗癌剤等の併用療法の効果を評価した。HER2を抑制したところ、上記細胞株において、リン酸化AKT の発現低下を認めたが、FOXO1Aの発現の変化は有意には認められなかった。また、HER2の抑制系でのMPAや抗癌剤の感受性は軽度増加した。Trastuzumabは、単独では上記細胞株において有意な増殖抑制効果は認められなかったが、Paclitazelの低用量使用下では増殖抑制の増強効果が認められた。これらの事から、子宮内膜癌において、HER2が、抗癌剤の感受性に関与する可能性、およびHER2をターゲットとした分子標的薬の抗癌剤併用療法の有効性を推測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RT-PCR実験は行えなかったが、計画の予定がおおむね進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
再実験や確認実験を行い、実験の精度をあげて、報告に耐えられるものにすること。また、臨床症例を集積して、臨床データも追加する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、細胞内シグナル伝達確認のために、RT-PCR法による実験を行う予定であったが、その実験が出来なかったために差額が生じた。その差額分は、次年度のRT-PCR法による実験などの試薬や消耗品等に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)