2013 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスベクターの細胞特異的組み込み領域の解析
Project/Area Number |
23701099
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉野 和寿 信州大学, 医学部, 助教 (40551859)
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Keywords | レトロウイルスベクター / X連鎖重症複合免疫不全症 / insertional mutagenesis / IL-2レセプターγ鎖 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
遺伝子治療による治療の完全な成功例は、2000年に報告されたMLVベクターに組み込んだIL-2レセプターγc鎖によるX連鎖重症複合免疫不全症の治療である。しかし、成功のわずか2年後に治療を受けた小児が白血病を発症した。insertional mutagenesisによる 原がん遺伝子、LMO2の活性化が発癌に大きく関わっていると推定されている。これまでLMO2遺伝子近傍へのベクター挿入確率を含め、個々の遺伝子のプロモーター領域のベクター組込みの定量的解析は行われていない。従って本研究は、遺伝子のプロモーター領域に的を絞った定量的ベクター組込み解析としては初めての試みとなる。これまで報告してきたようにPCR法を応用した本方法で、ようやくプロモーター領域を解析出来る基盤が整ったが、プロモーター領域を一つずつ解析するので、他のプロモーター領域との比較、特に染色体上の多数のプロモーター領域を包括的に解析することは困難を伴う。近年次世代シークエンサーの活用が進展してきたことから、次世代シークエンサーを用いて、ウイルスベクター挿入部位の網羅的検出系の開発を試みた。ヒトTリンパ球株細胞に挿入されたウイルスベクターの配列を次世代シークエンサーで解読することで、ゲノムにおけるベクター挿入部位の決定が技術的に可能となってきた。しかしながら、次世代シークエンサーの開発はゲノム解析に指向して進められており、外来遺伝子を含む本研究に適応するには、改めて条件を検討することが不可避である。現在、外来遺伝子を含む配列の解析ツールの構築に成功し、シークエンシング条件を設定中である。
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