2013 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍に対する腫瘍融解ウイルス治療の免疫学的側面の検討
Project/Area Number |
23701109
|
Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
長谷川 祐三 千葉県がんセンター(研究所), 医療局 脳神経外科, 医長 (60436409)
|
Keywords | 悪性脳腫瘍 / ウイルス治療 / 免疫治療 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
研究三年目にあたる年であり、まずは前年度に新しい研究契約を無事成立させたディナベック株式会社から、ベクターの提供を受ける事が可能になり、センダイウイルスベクターを用いた実験を開始しました。 独立して行う若手一人の研究でありますが、独力で実験を行っていくことは困難で不利益も多いので、既存のセンダイウイルスベクターを用いて実験を行っている実験室に席を置かせてもらい実験を行っていま。 前年度にヒトおよびラットのセルラインを用いてMHC class Iの発現の度合いを、まずフローサイトメトリーを用いて測定しました。さらに培地にインターフェロンβプロテインを加える事でMHC class Iの発現が多少なりとも増強されることを確認しました。そこで今年度はセルラインにインターフェロンβ搭載および非搭載のセンダイウイルスベクターを感染させて、感染自体がMHC class Iに与える影響、産生される多量のインターフェロンβとMHC class Iの関係を調べる事としました。まずラットの悪性脳腫瘍株である9Lを用いて、腫瘍融解センダイウイルスBioKnifeと融解作用のないコントロールベクターdelta MでMHC class Iの発現に与える影響の差を検討しました。 するとコントロールベクターの感染ではMHC class Iの発現に影響を与えないが、BioKnifeでは感染細胞のMHC class I陽性率がほぼ100%まで上昇することがわかりました。また面白いことに非感染細胞においても陽性率が上昇していました。この事実を感染の際のMOIを変更しながら追試するとともに、9Lは元々MHC class I陽性率が高いため他の細胞株でも実験を行いました。 本研究は難治性の悪性脳腫瘍がターゲットであり、未だに満足のいく治療法が確立されていません。最新の知見を得るためにヨーロッパで行われた欧州癌放射線治療学会に参加、演題発表をしました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究3年目にあたり実際にフローサイトメトリーを用いた腫瘍融解ウイルス感染実験を開始した。病院の臨床における業務が忙しく、実験にとれる時間を確保する事が難しかったため、予定より遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリーを用いて各種セルラインの、免疫系に関連した表面抗原の発現頻度を解析する。さらにそれが抗腫瘍センダイウイルスの感染によってどのように変化するか、また搭載するインターフェロンβとどのような相加相乗効果があるのかを検証する。 その上で樹状細胞を用いていかに感染後に獲得免疫系が賦活化されていくかを検索していく。具体的にはラット脾臓よりリンパ球を採取して樹状細胞に分化するように誘導培養し、樹状細胞がCD8+T細胞を誘導数プロセスに抗腫瘍センダイウイルスの感染がどのように関わるかを明らかにしていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病院の臨床における業務が忙しく、実験にとれる時間を確保する事が難しかったため、予定より遅れが出ている。 フローサイトメトリーを用いた表面抗原の解析が主になるのでMHC class IやCD4、CD8の抗体購入、樹状細胞に分化誘導するための各種サイトカインの購入、最新知識を得るための海外学会参加、統計解析ソフトの購入など
|
Research Products
(5 results)