2013 Fiscal Year Research-status Report
既存の海洋観測プラットフォームを利用した海洋乱流の簡易計測システムの構築
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23710002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 真樹 東京大学, 大気海洋研究所, 技術専門職員 (60447448)
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Keywords | 乱流計測 |
Research Abstract |
申請者は大気海洋研所属の技術職員の業務として学術研究船白鳳丸におけるCTD観測の支援を行っている。本年度はその業務のために乗船した白鳳丸KH-13-3次航海(2013.4/2-5/1)、KH-13-7次航海(2013,12/11-2014.2/12)におけるCTD観測の際に、自己記録式の乱流計(Microrider6000 以下MR)をCTDの架台に取り付けて同時に観測を行い、乱流観測データを取得した。 平成24年度までは512Hzでデータ取得を行ってきたが、CTDを一般的な速度の1m/sで降下させた場合、乱流の微細な構造を計測するには空間分解能が足りず、乱流の比較的大きな海域では乱流を過小評価してしまうことがわかってきた。しかし、降下速度を落とすことは、船の動揺に伴うCTDの上下動の影響が大きくなってしまうため現実的でない。そこで、25年度からは通常のサンプリング周波数の倍の1024Hzでのデータ取得を行い、データの比較からMR観測が改善できるかの検討を行った。 海洋中の水温場やシアーの場は、乱流強度が大きいほど微細な構造を持っている。同じ乱流強度の場合、水温の方がより微細な構造を持つ。水温センサーのレスポンスが遅いこともあり、MRにより計測された水温センサーによる測定結果については、1024Hzでのデータ取得としても計測できる乱流の大きさに改善はみられなかった。一方、シアーセンサーでの測定結果については、1024Hzでデータ取得した場合、512Hzでのデータ取得の場合と比べ、より強い乱流(細かいスケールの乱流)の構造をとらえられていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、従来の乱流観測に倣い512Hzでデータ取得を行ってきたが、MRによる観測にはこの分解能では不足であることがわかり、25年度より当初の計画を変更し1024Hzでデータを取得することとした。これに伴い、予定より多くの観測を行う必要が出てきたため研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度までの観測から、1024Hzでデータを取得したシアーセンサーによる乱流強度の見積もりは乱流強度の比較的強い海域で有効であることが示唆された。一方、24年度までの観測により乱流強度の比較的弱い海域では、船体の振動の影響を受けやすいシアーセンサーよりも温度センサーによる見積もりが有効であることもわかっている。 26年度は1024HzでのMRによるデータ取得を続行し、シアーセンサーと温度センサー両者の特長を活かしながら、広範囲で乱流強度を測定できるような解析手法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は従来の乱流観測に倣い、512Hzで水温・シアーデータを取得してきたが、解析を進めるうちに、MRによる観測には、この分解能では不足であることが分かり、当初の計画を変更し1024Hzでデータを取得することにした。25年度より分解能をあげての観測を開始したが、処理方法を確立するためには1年度分の観測ではサンプル数が不足しているため、次年度も引き続きデータを集めた上で解析結果を纏めることにした。 申請者は、技術職員の業務としてCTD観測の支援を行うために定期的に乗船しているが、本年度は、業務として乗船する航海でMRの観測を実施することができたため、当研究費から旅費・輸送費を支出することなく観測を実施できた。MRは研究協力者である大気海洋研の安田一郎教授より借用して使用させていただいているものであり、本年度のメンテナンス費用については安田一郎教授の経費より支出していただいた。 未使用額は、次年度の観測のための費用(出張旅費、機器の輸送費、電池・ケーブル・センサーなどの物品費用、メンテナンス費用)、結果を発表するための費用(学会参加費、論文投稿費)に充てたい。
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