2011 Fiscal Year Research-status Report
ポストカラム濃縮による過塩素酸イオンの高感度検出とその実用化
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23710009
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 政樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10457319)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ポストカラム濃縮 / 過塩素酸イオン / 大気エアロゾル / 自動分析 / イオンクロマトグラフ |
Research Abstract |
研究代表者が考案した新たな濃縮概念である「ポストカラム濃縮法」を、高い分離能を維持しつつ、ポストカラム部で長時間オンライン濃縮できるようにすることで実用レベルへと発展させ、本濃縮法を人体への影響が指摘されているのにもかかわらず、わが国では発生源、存在量及び挙動が解明されていない化学汚染物質「過塩素酸イオン」の定量に適用することで、環境中過塩素酸イオンの拡散状況を明らかにしてゆくことが本研究の目的である。本年度は、まず始めに、ポストカラム濃縮法の高性能化について検討した。ナフィオンチューブを用いてポストカラム濃縮器を製作し、濃縮条件(ナフィオンチューブ長、サンプル流入流量、溶媒除去ガス種及び流量、濃縮温度等)を最適化することで、過塩素酸イオンを通常の分析時に比べて7.7倍高感度に測定することに成功した。次に、疎水性膜を用いたエアロゾル連続捕集器とポストカラム濃縮器をイオンクロマトグラフに組み入れた大気エアロゾル中過塩素酸イオン自動測定システムを構築した。大気サンプルを3時間捕集したときの過塩素酸イオンの検出限界値は0.35 ng/m3であった。続いて、この自動測定システムを用いて徳島市の大気エアロゾルに含まれる過塩素酸イオンの連続測定を行った。過塩素酸イオン濃度は検出限界値以下から6.18 ng/m3の範囲で推移し、測定期間中の平均濃度は1.01 ng/m3であった。また、過塩素酸イオンは日中に高濃度になる傾向がみられ、気温と正の相関関係(相関係数r = 0.540)があったことから、塩素化合物の光酸化反応により大気中で過塩素酸イオンが生成している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究目標は、大気エアロゾル中過塩素酸イオンの連続測定に不可欠なポストカラム濃縮法の高感度化である。濃縮器の改良及び濃縮条件を最適化することにより、過塩素酸イオンの検出感度を7.7倍向上させることに成功したこと、さらに実試料にも適用可能であることが示されたことから、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に構築した大気エアロゾル中過塩素酸イオン自動測定システムを用いてデータを蓄積し、大気中過塩素酸イオンの発生源、存在量および挙動を明らかにしてゆく。ただし、本年度の過塩素酸イオンの測定結果において、検出限界以下のサンプルがみられたため、測定システムのさらなる高性能化も検討する。また、過塩素酸イオンの測定対象を雨水や河川水等の水試料に拡大し、環境中過塩素酸イオンの存在量及び循環過程を明らかにしてゆく。さらに、これまでに得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、大気エアロゾル中過塩素酸イオン自動測定システムの連続稼働に必要な分析カラム、ナフィオンチューブ等の物品費及び研究成果を公表するための旅費に使用する。なお、本年度の研究費の一部は、自動測定システムのメンテナンスに必要な消耗品費として使用する予定であったが、自動測定システムが順調に稼働したため本年度は使用せず、次年度のメンテナンスに必要な消耗品費に使用する。
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Research Products
(1 results)