2011 Fiscal Year Research-status Report
森林土壌における菌核の空間分布特性の把握および土壌炭素蓄積機能の評価
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23710014
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
坂上 伸生 茨城大学, 農学部, 助教 (00564709)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 菌核 / 森林土壌 |
Research Abstract |
本研究では,森林土壌における菌核の空間分布特性を把握することにより,菌核形成に関わる環境因子を明らかにし,土壌の炭素蓄積機能における菌核の寄与の評価を目指している。初年度は,秋田県田沢湖町や青森県岩木山,長野県西駒ケ岳(信州大学演習林)を中心に,土壌採取および植生情報の取得を実施した。田沢湖町ブナ林では植生と微地形とに着目した表土試料採取をおこない,表土菌核の分布と植物の位置を把握し,菌根菌の生育環境と菌核形成の対応関係を検討した。また,土壌試料中の菌核周辺の元素分布をSEM-EDX分析により測定した。選択溶解法などによる活性アルミニウムの測定結果などと併せて,菌核形成と土壌の無機元素との関連について,国際会議(Goldschmidt 2012)での発表が決定している。また,岩木山および西駒ケ岳では,標高系列で表土試料を採取し,植生の変化と菌核分布の対応を調査した。これらの結果については,現在分析中の一部項目を含めて,環境指標の提案を視野に考察していく。なお,申請者らのこれまでの知見では,粒径の大きな菌核は主に冷温帯から亜寒帯を中心に分布する傾向をもつ。本研究でもその領域を中心に菌核の分布を把握する計画であったが,亜熱帯である沖縄において,酸性土壌として知られる国頭マージに生育するリュウキュウマツ下の土壌で,少量ながら菌核の存在が確認できた。土壌有機物に対する量的な寄与は必ずしも大きくないと推察されるが,局所的な環境条件による菌核の形成や集積についても,慎重に評価をおこなっていく。菌核の分解試験については,室内および現地での分解試験に用いる菌核試料を準備し,一部予備試験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数地点で菌核が存在する土壌を植生情報とともに取得し,空間分布の把握は順調にすすんでいる。また菌核形成と無機元素との相互作用や,土壌の炭素循環あるいは土壌生成における糸状菌活動の役割についても,知見が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
森林土壌中での菌核の空間分布については,今後も継続して分析を実施し,形成因子の解明と併せて炭素貯留機能への寄与の評価をおこなうとともに,環境指標としての情報の整理を進めていく。また,非アロフェン質黒ぼく土やポドゾル性土における,土壌生成作用に対する糸状菌活動の寄与を検討するため,菌核分解試験のほかに,土壌―微生物培養系(あるいは現地試験)での土壌性状の変化についての検討を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はポドゾル性土の空間分布を把握するため,東北地方の亜寒帯林での現地調査を実施する。また,現地試験のために複数地点での現地作業を実施する。菌核形成にともなう土壌の無機元素の動態については,樹脂含浸試料のSEM-EDXを予定するとともに,土壌中での滞留に伴う菌核の物質的変化を明らかとするため,SIMS分析をおこなう予定である。
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