2013 Fiscal Year Annual Research Report
森林土壌における菌核の空間分布特性の把握および土壌炭素蓄積機能の評価
Project/Area Number |
23710014
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
坂上 伸生 茨城大学, 農学部, 助教 (00564709)
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Keywords | 菌核 / 森林土壌 |
Research Abstract |
本研究は,1.森林土壌における菌核の空間分布特性を把握することにより菌核形成に関わる環境因子を明らかにする,2.菌核の分解試験を通し,冷温帯~亜寒帯林土壌の炭素蓄積機能における菌核の寄与を評価する,3.菌核形成に関わる環境情報を整理し,菌核の存在を土壌調査現場で容易に利用できる環境指標として評価することを目的として実施した。 菌核の分布については,特に秋田県仙北市のブナ林表層土壌における菌核分布と土壌性状との関係を詳細に調査した。その結果,菌核含量が高い土壌は腐植複合体アルミニウム含量が相対的に高い傾向にあることが明らかとなった。さらに,沖縄を対象として,表層土壌の菌核分布を精査したところ,亜熱帯林では植生のみに規定される傾向が明らかとなった。菌核の分布と土壌性状との関係についての成果は学術論文として投稿準備中である。 土壌の炭素蓄積機能における菌核の寄与について,広域を対象とした土壌炭素量と菌核含量の関係を明らかにするなど,直接的な研究データは十分に得られていない。しかしながら,埋没表層から検出された菌核が他地点の菌核に比べて有意に高い熱分解耐性を示すなど,分解挙動に係わるデータが得られているため,研究成果を投稿準備中である。また,温度・水分を変化させて菌核の分解・形成の傾向を把握する培養試験については,実験を継続しながら一部データを解析中である。 菌核形成に係わる環境情報に関連して共同研究としておこなった調査により,堆積物中のペリレンは菌核粒子由来であることが推察された。琵琶湖の流域から採取した菌核について,その元素組成から堆積物中のペリレンに対する寄与について共著論文として発表した。菌核そのものを環境指標として捉える作業についても,形成・蓄積と微生物風化との関係を補足しながら継続中である。
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