2011 Fiscal Year Research-status Report
新規大気微量成分分析法を用いた植物より放出される揮発性有機化合物の計測
Project/Area Number |
23710015
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中嶋 吉弘 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (20419873)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 揮発性有機化合物 / 植物 / 微量成分分析 / 環境影響 |
Research Abstract |
本研究は植物から放出される揮発性有機化合物(BVOCs)について当研究室で開発した新規微量成分分析法であるOH反応性測定法により分析を行い、ガスクロマトグラフ分析法に代表される従来の分析方法では検出されなかった未知の化学物質の存在およびその放出量を定量化する。本研究では日本特に都市域に生息する樹種を対象として、樹木から放出される有機化合物の測定を行いさまざまな環境条件に置かれた樹木が放出するVOCsの放出量や組成を明らかにする。 本研究を遂行するためには植物がストレスを感じることなくより自然な条件で実験を行なうことが重要である。そこで本年度はBVOCsを測定するために植物育成用温室を製作した。また植物以外の化学物質の混入を防ぐために温室内にゼロガスを供給した上で植物全体もしくは枝をテフロンバックで覆い、内部にゼロガスを供給してバック内に含まれるVOCsを分析する。一連のBVOCs測定のための装置製作により、より自然に近い条件下で植物から放出されるVOCsの測定が可能となった。 本研究は先行して米国の研究グループと共同で米国に自生する植物を対象に測定を行っている。本年度は当研究室で製作した各装置を用いてテスト実験として、北米大陸に自生する植物(カナダトウヒ)を対象としてOH反応性測定およびガスクロマトグラフ分析、陽子移動反応型質量分析法によるBVOCsの総合測定を行った。その結果、観測されたOH反応性について最大で約50%程度については従来の分析方法では説明できない未知の物質による寄与であることがわかった。今回の測定では主に植物の周辺温度に対するBVOCsの放出量および未知物質の依存性についての測定となった。その理由としては光源にタングステンランプを使用しており、光量より温度に対して周辺環境を大きく変化させたためである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はより自然な環境条件下での測定を行うために、植物育成温室の製作および従来の微量成分分析法による報告例がある植物に関するテスト実験を行なった。その結果植物から放出される揮発性有機化合物(BVOCs)の採取方法および、植物育成に必要な擬似太陽光の選定などに多少の問題点が浮上したが、実験を遂行する上での障害にはならなかった。 一方で本研究は日本国内に自生する植物を対象とした研究であり、本年度は計画では国内種についても国内種の測定についてはコナラ、ミズナラ、イチョウ、スギなどについて陽子移動反応型質量分析法による予備測定に留まった。国内樹種への測定が遅れた理由としてテスト実験に対して多くの時間を費やしたためである。しかしテスト実験により実験手法に対するいくつかの問題点が浮上し、それらを解決することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は植物育成温室の製作および外来種を対象としたテスト実験を行なった。今後は国内種について光量・温度に対する揮発性有機化合物の放出量依存性および未知物質の存在の有無について研究を推進する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費ついては予算内で執行した。次年度については上記の研究推進方策に従って次年度の予算を執行する。
|
Research Products
(7 results)