2013 Fiscal Year Annual Research Report
鉄の環境動態を解き明かすセリウム安定同位体分析手法の確立
Project/Area Number |
23710017
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田副 博文 弘前大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60447381)
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Keywords | セリウム / ネオジム / 安定同位体分別 / 放射壊変起源同位体 / 北太平洋亜寒帯 / 供給源 / 陸源物質 |
Research Abstract |
前年度までに採取した海水試料および河川水試料中のセリウム安定同位体(Ce-142/Ce-140)および放射壊変起源同位体分析(Ce-138/Ce-140)を実施した。また同族元素であるネオジムについても同様の分析を実施し、セリウム特有の酸化還元反応の影響を調べた。海水試料としてKH12-4次研究航海において採水を行った北太平洋亜寒帯域の試料を用い、高い生物生産性によって粒子除去の効果により大きな同位体分別を受けていることが期待された。 これらの試料は本研究において開発した化学分離方法によってCeおよびNdの分離操作を行い、表面電離型質量分析法によって安定同位体比および放射壊変起源同位体比を分析した。 この結果、セリウム・ネオジムともに標準物質に対して優位な差異は認められなかった。一方で、放射壊変起源同位体比は両元素ともに170度以西の海域では比較的若い地殻に由来する組成を示した。これらの表層水壊は低塩分の特徴を示すことでも一致しており、カムチァツカ半島など島弧火山を供給源とすると考えられる。これら火山島からの供給過程では優位な安定同位体分別の影響は確認されなかった。 一方で、日本の河川水中では河口の混合域では0.03%の増加が観察された。汽水域では海水との混合によるコロイド物質の凝集過程が希土類元素濃度の相対的な安定性を反映して、除去過程に差が生じることが知られている。この効果がセリウム安定同位体分別に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)