2011 Fiscal Year Research-status Report
熱帯域における成層圏-対流圏間の力学的結合過程の解明
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23710025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 菜穂 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (50378907)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 成層圏対流圏間物質交換過程 / 熱帯対流圏界面遷移層 / 微量気体成分 / 巻雲 / 衛星観測データ / 数値実験 |
Research Abstract |
研究目的に沿って、主に以下の研究内容を実施した。データサーバーを構築し、衛星観測データおよび、客観解析データ、数値実験データを収集し、解析に使用できるようデータの加工を行った。衛星観測データは、雲、微量気体成分の情報を提供しているCALIPSO/CALIOP、Aura/EOS MLS、MODISデータを主に取得した。また、現在リトリーバル処理中のISS JEM/SMILESのデータ (2010年10月~翌4月) に関する情報収集を行った。気象場データとして、ECMWF、NCEP、JCDAS、MERRAの客観解析データセットを取得した。さらに、数値実験データとして、全球雲解像モデルNICAMの2009年12月から2010年2月の計算結果を取得した。また、GEOS-5に関する情報収集を行った。NICAMデータの有用性の検証として、2010年1月に発生した成層圏突然昇温に注目した事例解析を行った。NICAMデータでは衛星観測では得られない、上昇流、非断熱加熱項等のデータを提供している。解析の結果、客観解析データ等のこれまでの結果と同様に、突然昇温が現実よりも5日程早く発生していたものの、力学場に関しては突然昇温現象が再現されていることがわかった。また、突然昇温オンセット日後に、対流圏内の積雲活動および対流圏と成層圏内の循環場が強化されていることが確かめられた。しかし、衛星データとの比較より、上部対流圏以高の水蒸気、雲関連物理量は、現実をうまく再現できていない可能性がでてきたため、本研究では次年度以降、NICAMデータ内の力学的物理量に着目して解析を進めることにした。上記解析結果を国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成されている点:研究計画に基づき、データサーバーの構築、データ収集と加工、さらに取得した衛星観測データおよび客観解析データ、数値実験データ質の評価を行った。数値実験で突然昇温が再現されていることが確認され、対流圏と成層圏間で連続して循環場が強化されていることを明らかにした。得られた成果を国際学会で発表した。達成されなかった点:計算機リソースの制限 (節電含む) 等で複数事例を計算する数値実験が予定通り行えず、当初予定していた類似事例の合成解析が行えなかった。衛星観測データとの比較の結果、数値実験内の上部対流圏の雲微物理過程の改良が必要であることが判明し、本年度は雲、水蒸気データを利用した定量的な解析を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度より、引き続き、衛星観測データおよび客観解析データとの比較を行いつつ、数値実験 (NICAM) データの力学場の解析を実施し、突然昇温オンセット前後の対流圏内の力学場の変化に特に注目して解析を進める。さらに、当初研究計画にあるように、衛星観測データを同化しているGEOS-5による数値実験計算を実施し、事例を増やすことで突然昇温前後の対流圏、成層圏内の力学場の変化を総合的に理解することを目指す。繰越額が発生した主な事由は、年度初めに、使用できる予算が3割削減されるとの通知を受け、予定していた計算機リソースを、研究推進に支障の無い範囲で最小限に留めて導入したこと、および当初予定していた数値実験が節電の影響で実施されなかったことから、それを保存する媒体が必要でなくなったことが挙げられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の主な使用目的は、データサーバーの性能強化のためと、数値実験データ蓄積のためのハードディスクの増設費用、および海外機関との共同研究であるため、打ち合わせのための海外出張旅費、国内協力者との打ち合わせのための国内旅費である。さらに研究成果発表用に国際学会参加費用と論文投稿料等に充てる。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Retrieval algorithm for CO2 and CH4 column abundances from short-wavelength infrared spectral observations by the Greenhouse gases observing satellite2011
Author(s)
Yoshida, Y., Ota, Y., Eguchi, N., Kikuchi, N., Nobuta, K., Tran, H., Morino, I., and Yokota, T.
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Journal Title
Atmospheric Measurement Technics
Volume: 4
Pages: 717-734
Peer Reviewed
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[Presentation] SEASONAL VARIATIONS OF GREENHOUSE GAS COLUMN-AVERAGED DRY AIR MOLE FRACTIONS RETRIEVED FROM SWIR SPECTRA OF GOSAT TANSO-FTS2011
Author(s)
Eguchi. N., Y. Yoshida, I. Morino, N. Kikuchi, T. Saeki, M. Inoue, O. Uchino, S. Maksyutov, H.Watanabe and T. Yokota
Organizer
The IEEE Geoscience and Remote Sensing Society
Place of Presentation
Vancouver, Canada
Year and Date
24-29 July, 2011
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[Presentation] GOSAT TANSO-FTS SWIRから導出されたXCO2とXCH4の検証ー地上高分解能FTSと航空機観測データを用いてー2011
Author(s)
井上誠, 森野勇, 内野修, 宮本祐樹, 江口菜穂, 吉田幸生, 横田達也, 町田敏暢, 澤庸介, 松枝秀和, Patra P K
Organizer
日本気象学会 2011年度春季大会
Place of Presentation
渋谷
Year and Date
2011年 5月18-21日
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[Presentation] Progress status of the GOSAT SWIR L2 retrieval algorithm improvement2011
Author(s)
Yoshida. Y., N. Eguchi, Y. Ota, S. Oshchepkov, A. Bril, N. Kikuchi, T. Saeki, N. Kikuchi, K. Nobuta, T. Miyasaka, T. Murakami, I. Morino, O. Uchino, S. Maksyutov, G. Toon, and T. Yokota
Organizer
The 7th International Workshop on Greenhouse Gas Measurements from Space
Place of Presentation
Edinburgh UK
Year and Date
16-18 May, 2011