2013 Fiscal Year Annual Research Report
環境動態解析のためのハロゲン化ナフタレン分析法の高度化
Project/Area Number |
23710030
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
羽成 修康 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10392648)
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Keywords | 有害化学物質 / 塩素化ナフタレン / 臭素化ナフタレン / 二次元ガスクロマトグラフ質量分析計 |
Research Abstract |
当該年度の研究内容は、塩素化ナフタレン(PCN)について、昨年度実施困難であった三塩素化体の異性体に関して二次元ガスクロマトグラフ質量分析計(GCxGC/MS)を用いて、異性体分離・定性情報を確定すること、及びその分析条件を製剤・環境試料等に適用して成分組成解析を実施すること、さらに未だ不足している臭素化ナフタレン(PBN)異性体を光化学反応を用いて合成することであった。三塩素化体に関しては、14異性体のうち12異性体の分離を確定できたため、全異性体の完全分離は困難であったが、結果として全75異性体中73異性体の分離を実現した。また、本法をPCN製剤であるHallowaxシリーズの分析に適用し、詳細な成分組成解析を実施したところ、なかでも研究協力者等からの協力により入手したHallowax水溶液の光分解実験前後の分析結果の解析から、紫外線強度の強い山頂付近ではPCNが脱塩素化し、低塩素化することが明らかとなった。特に、ダイオキシン類似の毒性を示す異性体が存在しない製剤Hallowax1051においては、光分解実験後の溶液中に毒性を示す五塩素化体の異性体#52/60、六塩素化体の異性体#66/67が脱塩素化により生成したことを確認した。得られた結果は、PCNに関するリスク評価及び発生源特定の高度化に繋がる成果と考えられる。また我々の知る限り、一般環境下(山頂)で水溶液状態で光分解後に毒性を示す異性体が脱塩素化で生成したことを報告した例はないため、非常に有用な研究成果である。PBNの合成に関しては、より良い光化学反応条件を確定できなかったため、合成手法の変更が必要となったが、市販の一部PBN異性体ではGCxGC/MSにより詳細分離が可能であったため、PCN/PBNの一斉分析を可能とする一つの手法であると考えられる。
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Research Products
(4 results)