2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤ氷河融解によるガンジス河生態系への影響評価研究
Project/Area Number |
23710032
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
谷保 佐知 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00443200)
|
Keywords | ヒマラヤ / ガンジス / POPs / PFOS / PFOA / 化学トレーサー / 環境分析 |
Research Abstract |
Manipal大学、インド海洋研究所(NIO)、Patna大学等との研究協力体制を確立し、現地研究者の協力の下、ガンジス河流域の環境試料を収集した。また2012年1月および7月に協力研究者を現地へ派遣し、残留性汚染物質(POPs)や医薬品汚染なども含めた包括的な化学分析を行った。環境試料はガンジス川流域8地域から、水試料30、底質25の試料を採集し化学分析に供した。 特に、新たな地球化学トレーサーであるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)関連物質とPOPs類等、水資源の地球環境動態解析に必要な環境分析化学・地球化学指標をJISK0450-70-10およびISO25101等に準じて測定した。検出感度は数pg/Lであり、インドのようなベースライン汚染を調査する上で十分な高感度分析技術を開発した。 2008年の予備的調査で有用性が判明したPFOS関連物質を化学トレーサーとする環境解析により、ヤムナ川を発生源とする高濃度化学汚染がガンジス川下流の汚染の主原因となっている事が明らかになった。 チベット・中国および中東より大気中へ放出された化学物質が降雨・氷雪によりヒマラヤ高山へ負荷され、一部は氷河を形成するとともに融雪水・地下水・伏流水としてガンジス河へ流入、最終的にベンガル湾へと注ぐ全長250 kmに及ぶガンジス川陸水モデル作成に必要な基礎データを得る事ができた。
|