2011 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるウィルス感染症媒介蚊の分布と影響を及ぼす環境要因の解明
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23710045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
比嘉 由紀子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40404561)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デング熱 / ヒトスジシマカ |
Research Abstract |
平成23年度11月に、九州南部(熊本、宮崎、鹿児島)、沖縄島、与那国島において、道路わきに放置もしくは保管されている古タイヤにたまっている水溜りから、魚用ネットを用いて(5回すくい)蚊の幼虫を採集した。幼虫採集と同時に、タイヤ数、水のたまっているタイヤ数、幼虫のいたタイヤ数もカウントした。採集地点はGPSをつかって位置情報を記録した。幼虫は生かしてフィールドステーションに持ち帰り、ピレスロイド系殺虫剤(d-アレスリン)に対する感受性テストをおこなった。その結果、76地点で採集を行った。九州の三県からはシマカ類は採集されなかったが、ヤブカ属およびナガハシカ属(キンパラナガハシカ)の蚊の幼虫が採集された。一方、沖縄では、本島および与那国島のいずれの島からもシマカ類が採集され、タイヤから発生するカの優先種であった。シマカ類の幼虫に関しては、フィールドで殺虫剤感受性試験を行ったが、すべての地点で30分内にノックダウン(指数36以下)した。九州南部でシマカ類は全く採集されず、すでに卵による休眠に入っているものと考えられた。沖縄県では依然シマカ類の活動がみられ、安定的に水をためているタイヤは発生源として注意する必要がある。日本のシマカ類として、主にヒトスジシマカとヤマダシマカの2種の発生が考えられるが、形態による同定が困難であるため、今回採集した幼虫は、協力研究者(比嘉)らによって開発されたマルチプレックスPCR法を用いて分子同定を行い、今後、詳細な分布および感受性指数を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
職務として約半年間海外派遣されたため、本件の研究開始が若干遅れた。しかし、採集法の確認及び初年度としては十分なデータ収集が達成できた。次年度の研究遂行はなんら問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に本研究に必要なデータ収集を終了し、最終年の解析に備える。方法はすでに確立されており、日本での運用も問題ないことは初年度の調査で確認済みである。調査時は、車を使っての移動が活動の主体となるため、道路交通法規を遵守するとともに、安全に十分に配慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入は、採集に必要なエタノール及びサンプル保存チューブの購入が主となる。旅費は、約1ヶ月の調査にかかる、研究遂行者の日当、宿泊費とレンタカー代として使用する。
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