2011 Fiscal Year Research-status Report
よそ者と住民の協働による地域環境保全のための実験研究
Project/Area Number |
23710051
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山田 晋 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教育研究支援者 (90593137)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | よそ者論 / 地域環境保全 / 共感 / ゲーミング |
Research Abstract |
平成23年度は、東日本大震災における支援者と被災者のかかわり方に関する調査を行い、成果を学会報告し、さらに査読論文としてまとめた。研究計画書では福島県相馬市松川浦で調査を行う予定であったが、松川浦は東日本大震災で甚大な被害を受けたため、調査は不可能となった。そこで、東日本大震災における支援者と被災者の関係を、本研究課題の枠組みである「よそ者論」で捉えることで、本研究課題をする上で必要な、よそ者のあり方に関する知見を得ることとした。具体的には、神戸K大学学生、仙台市内で行われた震災関連ワークショップの参加者、そして東北六魂祭観衆に質問紙調査を行い、これまでに行った支援行動、これから行う予定の支援行動、被災者にとって何が必要だと感じるか(被災者ニーズの把握)、「がんばろう日本」というかけ声に対する抵抗感を訊いた。東日本大震災は現在進行形の問題であるため、人々の関心は非常に高く、よそ者としての支援者が、被災者と関係を結ぶ際の様々な苦労や工夫を知ることができた。とくに、「がんばろう日本」に代表される一体感を求めるかけ声に対して抵抗を感じつつも、被災者ニーズに合った支援のあり方を選択する支援者の存在から、「他者との一体感へ抵抗感を感じる者」としてよそ者を捉えることのできる可能性が示された。よそ者に関するこれらの知見は、次年度に地域環境保全を題材によそ者と地元で協働ゲーミングを行う際に生かす予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災における支援者と被災者のかかわり方に関する研究を行うことで、よそ者に関する有益な知見は得られたものの、研究計画書にある調査地選定と調査はまだ行っていない。これは、東日本大震災の被害がまだ大きい平成23年度の時点では調査実施が困難であったためである。ただし、平成24年度にゲーミングを実施する際は、被災地復興の一環としての地域環境保全をテーマとしてゲーミングを行うことを予定していて、その場合、平成23年度に東日本大震災に関して行った研究の成果を援用することができる。平成23年度は、よそ者に関する知見および東日本大震災に関する人々の意識のあり方という、協働ゲーミング設計に必要な材料を収集するにとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査対象地域の設定を緊急に済ませる必要がある。東日本大震災で東北地方は被災したため、平成23年度に調査することは難しかったが、被災地も少しずつ回復しつつある。松川浦は被害が甚大であり、調査地とするのは困難であるため、調査対象地は改めて設定し直す。その際、白神山地における地域環境問題と同型の問題が生じているかどうかは問わない。また、被災地を調査対象地とする予定である。これは、東日本大震災の被災地において、地域環境のあり方も含めて地域をどのように復興していくかが課題となっており、被災地はよそ者と協働する地域環境保全に関する研究を行うのに適していると考えられるためである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費として主に用いる予定であるのは旅費と謝金である。旅費は、調査地への行き帰りと、調査地内での移動に用いる。また謝金は、ゲーミングに参加する学生および地域住民に支払う。その他の研究費用途は、ゲーミングの会場費、茶菓代等、また、研究成果投稿料などである。
|