2012 Fiscal Year Annual Research Report
よそ者と住民の協働による地域環境保全のための実験研究
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23710051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山田 晋 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教育研究支援者 (90593137)
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Keywords | 地域環境保全 / よそ者 / 共感 / ライフストーリー |
Research Abstract |
地域住民の視点に立った地域環境保全を実現するために、地域住民と「よそ者」の協働プロセスを実験環境で再現することが本研究の目的である。 初年度は地域環境保全にテーマを限定せず、被災地復興に対するよそ者のかかわり方を明らかにする質問紙調査を、被災地支援に関心のある仙台市民および神戸の大学生を対象に行った。結果、過去の苦悩体験が支援行動の動機形成に関係していること、「がんばろう日本」のような一体感を促すフレーズに抵抗感を感じる人の方が被災者ニーズに配慮した支援行動を選択する傾向があることが明らかになった。 最終年度は、地域住民とよそ者の協働において、よそ者が地域住民に「共感」することの重要性に着目し、共感の発生を促すための実験研究を2件行った。まず、中国河北省張家口蔚県の伝統工芸品である「剪紙」をテーマに、地元の剪紙職人および高校生参加による戦略的討論の場(高校生が剪紙職人を演技する一種のRPG)を設定することで、高校生が剪紙という地域文化への理解を深めていくプロセスを評価した。実験の結果、高校生が剪紙職人の価値観を理解した上で剪紙を評価するようになる変化が確認できた。また、東北大学農学部の学生を対象に、山形県最上町の農業者へライフストーリー調査を行う実習を実施し、学生の感想文分析から、農業者に対する共感発生を評価した。その結果、地域住民のライフストーリー(人生の物語)を聴くことが、地域住民へのよそ者の共感を促すことが明らかになった。 本研究では、よそ者による地域住民への共感発生までは実験環境で再現できたが、地域環境保全における両者の協働までは再現できなかった。現在は、よそ者が地域住民に共感することによって、地域環境保全における両者の協働が有意義に行われることを評価するために、ライフストーリー調査とKJ法等の合意形成手法を組み合わせた地域環境保全支援ツール開発に取り組んでいる。
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