2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥島 真一郎 筑波大学, システム情報系, 講師 (20431653)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 環境政策 / 環境モラル / 価格インセンティブ / 地球温暖化 / エネルギー / 分解分析 / 環境と開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モラルモチベーションに基づく人々の自発的な環境配慮行動を政策分析可能な形でモデル化すること、加えて、独自に開発した要因分解手法等を用いて、環境モラルに基づく自発的行動を促進するような政策や価格インセンティブ政策の有効性を評価することである。平成23年度は、独自に開発した要因分解手法(多時点カリブレーション分解分析、MCDA)の再評価、また、モラルモチベーションに基づく人々の自発的環境配慮行動のモデル化及び分析を中心に行い、以下のような成果を得た。 第一に、独自に開発した要因分解手法(MCDA)について、より一般的な要因分解手法としての観点から、再評価を行った。具体的には、他の一般的な要因分解手法と自らの手法を理論的、実証的に比較することで、その特徴や優劣について評価した。また、過去の我が国のデータを用いて実証分析を行い、各手法の結果の出方、傾向性と、価格要因の評価に関するMCDAの優位性について再検討した。 第二に、モラルモチベーションに基づく人々の自発的環境配慮行動のモデル化と政策的含意について考察した。本研究では、現状、包括的評価関数W=u+vを用いて、効用(厚生)を得る対象を環境水準(帰結志向型v)まで拡張したモデルを想定している。そこで、当モデルを用いて、発展途上国におけるPESやREDD等の開発プロジェクトの報酬体系を評価し、非成果主義的報酬体系が優位になるための条件について考察した。さらに、v関数の形状により結果が異なるため、Brekke et al. (2003)のセルフイメージモデルに基づく定式化など、様々な観点からのモデル化を検討し、分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、独自に開発した要因分解手法(MCDA)の再評価、また、モラルモチベーションに基づく人々の自発的環境配慮行動のモデル化及び分析を進める予定であった。前者の要因分解手法(MCDA)の再評価については、予定通りに終了し、国際学術雑誌等に成果を発表した。後者のモデル化、分析についても、現在進行中であり、概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた成果を基にして、今後は、厚生分析、ケーススタディによる分析、また、政策分析用モデルの構築等に注力する。さらに、モデルのパラメータに具体的な値を入れた数値シミュレーションなどを行う予定である。 以上より得られた成果を、国内外の学会、学術論文等で適宜発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費については、経済学、環境学関連の研究資料、データ類、研究打合わせや学会発表のための旅費、資料収集・整理のための謝金、外国語論文の校閲などに使用する予定である。謝金等が当初見込みよりも少なかったために発生した繰越金については研究資料などの物品費等に充てる予定である。
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