2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥島 真一郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20431653)
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Keywords | 環境政策 / 環境モラル / 価格インセンティブ / 地球温暖化 / エネルギー / 分解分析 / 環境と開発 / エネルギー貧困 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モラルモチベーションに基づく人々の自発的行動を政策分析可能な形でモデル化すること、加えて、環境モラルに基づく自発的行動を促進するような政策や価格インセンティブ政策の有効性を評価することである。平成25年度は、主に以下のような成果を得た。 第一に、モラルモチベーションに基づく人々の自発的行動に関して、これまでとは別のアプローチからのモデル化を行い、その政策的含意について考察した。これまでは、包括的評価関数W=u+vを用いて、ある種の道徳的評価(カント的道徳)から効用を得るといったモデルを想定した。平成25年度は、それとは別に、環境財(いわゆる「環境にやさしい財」)と通常財に対する選好の違いを人々の環境モラルの違いと解釈するタイプのモデルを構築した。今後、双方のモデルを用いて、環境政策(炭素税等)導入の影響などについて、結果を比較考察する予定である。 第二に、エネルギー貧困問題について、評価手法の開発、現状分析、シミュレーション分析を行った。特に、気候変動政策における価格インセンティブ政策を考える上で、東日本大震災後のエネルギー価格の上昇は極めて重要な問題となりつつある。そこで、平成25年度においては、主に10%指標により、我が国のエネルギー貧困について事後分析、事前分析を行った。今後、環境モラルに基づく自発的行動の影響や価格インセンティブ政策の有効性を考えるにあたって、経済効率性に加えて、エネルギー貧困という概念からも分析を進めていく予定である。 また、環境政策分析を行うにあたっての方法論について考察した論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、政策分析用モデルの構築と分析、また、東日本大震災後のエネルギー問題について、省エネルギーとエネルギー貧困の観点から分析を進める予定であった。これらの点に関しては、概ね予定通りであり、国際学会等において成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに得られた成果を基にして、今後は厚生分析、また実証分析を進めていく予定である。加えて、評価のための指標として、エネルギー貧困指標の開発にも注力する予定である。また、環境政策分析に関する方法論についても考察を進めていく予定である。 以上より得られた成果を、国内外の学会、学術論文等で適宜発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に物品費が当初見込みよりも少なくて済んだため。 平成26年度の研究費については、経済学、環境学関連の研究資料、データ類、研究打合わせや学会発表のための旅費、資料収集、整理のための謝金、外国語論文の校閲などに使用する予定である。繰越金については、研究資料などの物品費等に充てる予定である。
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