2011 Fiscal Year Research-status Report
スラム化する途上国都市からみたエネルギーアクセスと気候変動対策に関する研究
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23710057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小松 悟 広島大学, 国際協力研究科, 助教 (80553560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | スラム / 気候変動 / エネルギーアクセス / 都市化 / 国際協力 |
Research Abstract |
本研究は都市化とスラムの増加が同時に進行するアジア途上国にて、スラムの空間配置や特徴、スラムに居住する住民のエネルギーアクセスや生活実態に関する調査を実施し、スラムの拡大化要因を探る。更にスラムの拡大を放置することがどれだけの経済的損失を生むのかを分析する。発展段階の異なるアジア途上国の都市部において、様々なタイプのスラムで実証研究を行うことで、スラム解消に向けた政策提言を行い、都市の持続可能な発展、効果的な気候変動対策を実行するための政策手段を提案する。平成23年度はアジア途上国において、スラム地域の位置・規模、更にその他環境・衛生状況に関して、必要となるデータの収集を実施した。特にバングラデシュにおいて、現地の統計資料(エネルギー統計、社会経済統計、センサスデータ)を入手するとともにスラムの規模・空間配置を示す地図も入手している。またエネルギーアクセスと消費量、所有する電気機器や交通手段、居住地選択、世帯構成、世帯収入、収入源といったエネルギー利用に関連した包括的な調査項目を設定したパイロット調査を実施し、本調査に向けたデータ整備を図った。またエネルギー需給に関する現地の関係者(行政担当者・援助関係者・大学研究者、及びNGO)との会議を開催し、バングラデシュ・ダッカにおける電力需給状況をはじめとするエネルギー状況に関して情報収集に努めた。合わせてネパールにおいて、南アジアのエネルギー需給状況や都市の持続可能な発展、気候変動対策に関して知見を持つ研究者との議論を通じ、本研究に関する情報収集も図った。インドネシア・ジャカルタにも訪問し、統計情報や専門家との議論も実施ができている。フィリピンに関しては、都市の社会経済発展に関する基礎情報を収集した段階であり、現地研究者とともに予備調査を実施する立案している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、スラムの状況に関する聞き取り調査の実施、及び予備調査の実施が主な目的であった。23年度は聞き取り調査はバングラデシュでのみ実施し、フィリピンでは実施できなかった。バングラデシュでは現地の統計資料(エネルギー統計、社会経済統計、センサスデータ)を入手するとともにスラムの規模・空間配置を示す地図も入手している。またエネルギー需給に関する現地の関係者(行政担当者・援助関係者・大学研究者、及びNGO)との会議を開催し、ダッカにおける電力需給状況をはじめとするエネルギー状況に関して情報収集に努めることができた。更に予備調査として、バングラデシュ・ダッカではほぼすべての大規模なスラムに訪問することができ、地理的・社会経済的条件の異なるスラムにおいて包括的な調査を予備調査として実施できたため、初年度の成果としては、バングラデシュに関しては予想以上の成果を上げられたと考えている。ジャカルタにも訪問し予備的データを調べることができたこと、またフィリピンに関しても聞き取り調査や住民に対するインタビュー調査を実施するための計画案を現地研究者とともに議論している状況下であり、全体としての進捗状況としては良好であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、平成23年度に得られた結果を基にして、バングラデシュで本調査、フィリピンで予備調査及び本調査を実施し、更に及びスラム拡大による悪影響の分析を行う。UN-HABITAT によるスラムの規模の将来予測や、ヒヤリング・調査の結果を利用し、政府が都市計画の中でスラム解消を目指した政策を実施しない場合、スラムの中の人口構成や性質がどのように変化するのか、更に各都市でスラムの拡大がどの程度経済的損失を生むのかを予測ことを目的とする。スラムの実態把握やスラムに居住する住民の生活実態やエネルギーアクセスのデータより、スラムの拡大を放置する場合に生じる都市計画や都市発展への問題、社会的な不利益を分析する。そして、居住民のエネルギーアクセス改善、スラム解消を目指した途上国都市の持続可能性や気候変動対策の在り方を提言としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じたのは、フィリピンでの調査を24年度に実施するためであるが、本年度執行するめどが立っている。更に本年度はダッカとフィリピンにおいて、現地専門家への聞き取り調査や住民へのアンケート調査を実施する予定である。さらに得られた成果の発表や、研究者とのネットワークを深め更なる情報を集めるために、持続可能なエネルギー供給・環境・国際関係に関する、国内外の学会にも積極的に参加・発表して情報発信に努める予定である。
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Research Products
(13 results)