2013 Fiscal Year Annual Research Report
中古品貿易における輸出国の責任および費用負担に関する経済学的総合研究
Project/Area Number |
23710058
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
阿部 新 山口大学, 教育学部, 准教授 (30436745)
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Keywords | 中古品 / 廃棄物 / 国際資源循環 / 自動車 / 拡大生産者責任 / 静脈産業 |
Research Abstract |
本研究は,中古品の輸入国においてその使用後に起こりうる廃棄物問題を対象とし,それに対する輸出国の責任や費用負担について論じるものである。平成25年度は前年度までに議論されてきた内容を再整理し,環境経済・政策学会等で口頭発表した。まず,(1)輸入国で引き起こされる外部費用に対して,輸出向け中古品に料金(税)を課すことが社会的に最適であるが,輸出国において余剰を減少させることから,輸出国に何らかの責任がない限り,そのような政策を実施するインセンティブがないことが示された。これを受けて,次に,(2)輸出国または輸出者を廃棄物の排出者とする排出者責任の考え方に関しては,中古品は廃棄物ではなく,これを適用することはできないことが示された。さらに,(3)拡大生産者責任は自国内の処理の効率性を根拠とするものであり,輸出後の外部費用について考慮することは自国内の余剰を減少させるため,この考え方は輸出後の問題について適用されない点が示された。これらから,現行の廃棄物制度の考え方では,中古品輸出に対する輸出国の責任や費用負担の根拠はないことが示されている。ただし,輸入国で環境汚染が生じる限り,社会的に何らかの費用負担が必要であるとし,その際に廃棄物制度論の枠を越えた議論が必要であること,輸出国の生産者や静脈産業の利潤動機がこの問題を解決させうること等が言及されている。 静脈産業の海外展開については自動車関連の実態の動きを整理し,廃棄物資源循環学会等にて口頭発表した。ここでは,中古部品の販売拠点としての進出が多いこと,一方で国内の同業者との協力関係が必要であり,それが進出を阻むこと等が指摘された。この成果は学内紀要に誌上発表された。その他,中古品の輸入国において静脈産業が形成されにくい点を指摘し,中古品の輸出国の関わりについて産業育成等の別の角度から論じている。
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Research Products
(9 results)