2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射条件と細胞に依存した細胞応答とゆらぎ機構によるP53機能の解析
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23710069
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30379846)
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Keywords | 放射線影響 / ゲノム安定性維持機構 |
Research Abstract |
本研究課題では、iPS細胞を含む様々な細胞を低-中線量率(10-1000 mGy/day)の低LET放射線照射環境下で培養し、細胞の種類や照射線量率に依存した細胞応答現象とその分子機構を解析する事で、細胞の持つ新しいゲノム安定性維持機構の概念を提唱し、その分子機構を包括的に解明する事を目的とした。iPS細胞、持続的放射線照射、DNA損傷応答(DDR)-p53経路の解析と革新的な次世代シークエンスシステムによる網羅的解析を組み合わせる事で、細胞の持つ多様な細胞応答の分子機構とゲノム安定性維持機構について、新しい観点から研究を行った。 本研究により樹立された様々な細胞株とGenome Analyzerの解析データを用いて、異なる種類の細胞と様々な線量率に依存した細胞の応答機構の解析を行った。iPS細胞の放射線応答機構の解析を進めると共に、トランスクリプトームのデータ解析を行い、RT-PCRなどを用いてp53の機能を検証した。発現パターンの変化の解析から、線量率依存的な放射線細胞応答機構とその経路を同定することができた。 本研究の解析によって、本研究課題の目的であった細胞種とDNA損傷誘発頻度に依存した新しいゲノム安定性維持機構が明らかとなった。異なる細胞種による異なるゲノム安定性維持機構の存在が明らかとなったことで、今後、新しい研究領域の展開が期待される。
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