2011 Fiscal Year Research-status Report
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23710081
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川西 優喜 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70332963)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 環境質定量化・予測 / ナノ材料 |
Research Abstract |
ほ乳類培養細胞における、ナノマテリアルによる生体分子損傷から染色体異常・ゲノム機能不全へ至る分子メカニズムを明らかにする。染色体中に生じるDNA損傷には、DNA鎖切断や酸化的塩基損傷、メチル化や多環芳香族炭化水素など大型分子が付加した塩基など、様々である。細胞には、こうした構造の異なる多種類のDNA損傷を修復するため、複数のDNA修復系が存在する。CHO株では各種DNA修復系を欠損した変異株が利用できる。これらの細胞株を用いて、ナノマテリアルに対する細胞生残率試験を実施した。ナノマテリアルが特定のDNA損傷を作るならば、その損傷に対応する修復系を欠損した変異株は野性株に比べナノマテリアルに対して感受性が高くなるはずである。 各ナノマテリアル(多層カーボンナノチューブ(MWCNTs), カオリン, フェライト, フラーレン)を処理した細胞を4日間培養し増殖させた。細胞計数機から細胞数を、細胞性死判定蛍光試薬で生細胞数の割合を算出し、両者を乗じて生細胞数とした。その結果、NHDJ, NER, BER欠損株はMWCNTsに感受性と分かった。この増殖率の違いはMWCNTsがバルキーアダクト(大きい損傷)、DNA二重鎖切断、酸化的損傷を誘導することを示唆している。 現在、活性酸素種(ROS)の寄与を明らかにするため、ROS用プローブを用いてフローサイトメーターでROSを定量中である。また抗酸化剤(N-アセチルシステイン(NAC)およびVitamin E)を共存させて生残率試験・ROS定量を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は遺伝毒性メカニズム解明のため、酸化的損傷を含めナノ材料が誘発するDNA損傷を探索する予定であった。そしてMWCNTsがバルキーアダクト(大きい損傷)、DNA二重鎖切断、酸化的損傷を誘発することを示唆する結果を得た。またその原因となるROS発生の証拠も揃いつつある。このため概ね計画通りに研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノマテリアルがどのような種類のROSを発生しているか、蛍光検出試薬とフローサイトメーターを用いて解析する。ナノマテリアルによって生じた小核がセントロメアを含んでいるかどうかを蛍光観察する。またDNAメチル化パターンの変化とヒストンアセチル化・リン酸化・メチル化状態の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度同様、細胞培養試薬・器具、各種蛍光試薬・プローブの購入に使用する。成果報告のための学会発表旅費の支出を予定している。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] GENOTOXICITY INDUCED BY NANOPARTICLES2011
Author(s)
Yukari Totsuka, Tatsuya Kato, Kousuke Ishino, Shuichi Masuda, Dai Nakae, Yukie Tada, Masanobu Kawanishi, Takashi Yagi, Masatoshi Watanabe, Keiji Wakabayashi, Hitoshi Nakagama
Organizer
European Environmental Mutagen Society
Place of Presentation
バルセロナ、スペイン
Year and Date
2011, July 04-07,