2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ個体を用いた小胞体ストレス応答解析の環境毒性学への展開
Project/Area Number |
23710082
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
蒋池 勇太 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (70386556)
|
Keywords | 環境毒性学 / ゼブラフィッシュ / 小胞体ストレス応答 / トリブチルスズ |
Research Abstract |
本研究の目的は、ゼブラフィッシュをモデル動物として用いて、環境毒性学の立場から、環境汚染毒性物質が惹起する個体レベルの小胞体ストレス応答の仕組みを明らかにすることである。最終年度となった本年度では、昨年度末の成果報告時に立案した「PERK-eIF2α経路およびIRE1-XBP1経路に焦点を絞り、各活性化マーカーの動態について、組織特異性に注目して免疫染色を中心に行い解析する。」という研究計画に基づき研究を実施した。ゼブラフィッシュ由来BRF41細胞においては、重要な海洋汚染物質であるトリブチルスズおよび代表的な小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン、サプシガルジンの曝露により、PERK、eIF2αおよびIRE1のリン酸化状態の時間・濃度依存的な変化をウエスタンブロッティング法により詳細に観察できたものの、ゼブラフィッシュ胚においては、小胞体ストレスマーカーであるGRP78の発現亢進が免疫染色法により検出される曝露・染色条件を用いても、上記タンパク質のリン酸化型は検出不可能であった。それぞれのリン酸化タンパク質について、複数の抗体および染色条件を用いて検討したが、いずれの場合にも検出不可能であった。 研究期間全体を通じで、本研究では、①トリブチルスズおよびツニカマイシン、サプシガルジンの曝露により、小胞体ストレス応答の3つの経路のうち、PERK-EIF2A経路とIRE1-XBP1経路が活性化される、②ゼブラフィッシュ個体で、小胞体ストレス応答は器官特異的に惹起され、応答する器官および発現誘導される小胞体ストレスマーカー遺伝子は、曝露する物質によって大きく異なる、③トリブチルスズの曝露により、魚類の感覚受容器官である感丘で小胞体ストレスマーカーの発現が亢進することから、トリブチルスズの神経毒性への小胞体ストレス応答の関与が示唆される、ことを明らかにした。 本研究の成果は、原著論文1報、4回の学会、2回の招待講演において発表した。
|
Research Products
(5 results)