2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710083
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
久保田 領志 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 主任研究官 (80392299)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フラーレン / 水酸化物 / 一斉分析法 / LC-MS/MS |
Research Abstract |
LC-MS/MSを用い、生体内でのC60の代謝物として存在する可能性のあるC60(OH)2について、高純度試薬を合成・精製し、C60、C70との一斉分析法の検討を行った。我々が以前に開発したC60、C70を測定対象としたLC-APCI-MS/MS法を用い、C60(OH)2の定量分析法について検討した結果、上記分析法ではC60(OH)2のピークは観察されず、C60(OH)2の定量分析は困難であった。そこで、プローブをESIプローブに変更し、分析条件を検討した。トルエン/メタノール溶液の測定溶液をインフュージョン法でMSに導入し、スキャン分析でスペクトログラムを確認した結果、C60、C70、C60(OH)2の各化合物由来のシグナルが最も強い強度で確認された。このシグナルをモニターしながら、キャピラリ-電圧、コーン電圧等のMSの測定条件を最適化した。次に、LCの分離条件を検討した。検討にはC8系カラム、C18系カラム、C30系カラム、F5C6系カラムの4種の異なる充填剤の分離カラムを、移動相には、トルエン、メタノール、アセトニトリルを選択した。検討の結果、分離カラムにC8系カラム、C18系カラム、C30系カラムを、移動相にトルエン、メタノール、アセトニトリルを組み合わせたアイソクラティック法による送液条件では、C60、C70、C60(OH)2のピークの形状、分離状況、検出感度ともに良好な結果は得られなかった。一方、分離カラムにF5C6系カラムを、移動相条件にトルエン/メタノールのアイソクラティック法を用いた条件で、ピーク形状、分離状況、検出感度ともに良好な結果が得られ、それぞれの定量下限値は、0.1μg/L~1μg/Lの高感度分析が可能となった。本研究の結果は、フラーレン類とフラーレン誘導体の一斉定量分析法を初めて示したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定対象の水酸化フラーレンの合成・精製に数か月間を要したが、その後の定量分析法の開発はほぼ予定通り順調に行えた。in vitro系を想定した前処理法の検討は現在行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitro系を想定した前処理法の検討を引き続き行い、平成24年度の研究計画に記載しているフラーレンのin vitro系薬物代謝反応による代謝物の同定・定量のための検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の残額28619円の使用計画は、平成24年度購入予定の消耗品等購入費にあてる。
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