2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23710083
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
久保田 領志 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 主任研究官 (80392299)
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Keywords | フラーレン / 代謝物 / LC/MS/MS / in vitro / 細胞毒性 / 肝ミクロゾーム |
Research Abstract |
昨年度の研究実績において測定対象とした、生体内でC60の代謝物として存在する可能性がある酸化フラーレン(C60O、C60O2、及びC60O3)について、in vitro試験を想定し、培地からの代謝物を抽出するために、酸化フラーレンの添加回収試験を行った。添加回収試験には培地(10%FCS Minimum essential medium eagle)を用いて評価した結果、各酸化フラーレンについて、ピーク形状は良好であった。また、各化合物の回収率については81.5~91.2%、C70で回収率補正した場合でも99.4~104%とそれぞれ良好な結果が得られ、in vitro系からの酸化フラーレンの抽出法を確立できた。 C60O、C60O2、C60O3及びC60(OH)2について、ヒト肝ガン由来細胞HepG2を用いて、LDH Assay及びCell Viability Assayで毒性影響を評価した。LDH Assayでは酸化フラーレン3種において毒性影響に有意差は無かったが、Cell Viability Assayにおいて、C60Oが濃度依存的に細胞生存率(%)が低下し、投与溶液濃度10 mg/mLにおいてC60に比べ有意に毒性が強いことが明らかとなった。一方、C60O2、C603及びC60(OH)2はC60より毒性影響は小さかった。 生体内でのC60の代謝を評価するため、ラット肝ミクロゾームを用い、チトクロームP450(CYP)による代謝試験を実施した。雄ラット(SD)でタンパク濃度は20 mg/mLの肝ミクロゾームを用い、反応時間1及び2時間で行った反応液について、上記の前処理法を用いて対象物質を抽出した。測定溶液についてLC/MS/MSによるフラーレン及び酸化フラーレン等の定量分析を行った結果、反応時間1時間及び2時間においても酸化フラーレン類等の代謝物の存在は確認できなかった。
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