2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710088
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
MYO ThanHtay 信州大学, 工学部, 助教 (20590516)
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Keywords | 太陽光エネルギー / CO2分解 / 水分解 / 触媒 / 酸化還元反応 / 水素生成 / 環境技術 / 太陽集光熱 |
Research Abstract |
本研究は、無尽蔵に存在する太陽光のエネルギーを有効に利用して、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)ガスの分解を行い、環境負荷の軽減につながる技術の確立を目的として実施している。 H23-24年度では、本研究の心臓部である再生可能な太陽光の集光装置の構築や実験の環境整備に費やした。以下にこれまでの主な成果をまとめた。 ①集光機構の構築:計画していた直径2メートルのパラボーラ型集光装置を作製することができ、独自の設計及び作製工程を導入した成果としてパラボーラ集光機構の作製費用を大幅に抑えることに成功している。また、受熱部(高温反応室)の構築には石英や炭素を用いて独自に設計し、受光率の高い受熱部の作製に成功している。 ②水分解温度低減の検討:CO2分解効率を上げるために必要な水素の生成過程において、当初予定していたZnO触媒(必要温度:約700~2300K)の代わりに、現在は、リサイクル可能な触媒(Cu-Cu2O-CuO系)を見出すことに成功しており、より低い温度(約650~850K)での水分解が可能となった(本成果に関連する内容をまとめた論文を学術雑誌に投稿中である)。これにより高温反応室の耐熱性が大幅に緩和され、構造の簡易化を実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由①H23-H24年度では本研究に必要な太陽光の集光加熱装置(パラボーラ型集光装置及びリニア型集光装置)の構築を中心に実施したが、作製費用縮小のため設計変更等により完成時期が予定より遅れたことが要因の一つである。 理由②反応温度を下げるために代替触媒の検討を行ったことによって当初予定していた研究プロセスより工数が増えたためである。これにより、現在はより低い温度で使用可能なCu-Cu2O-CuO系触媒を見出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
装置の構築が完成した後はCO2分解反応実験に研究の重点をシフトさせる予定である。 本研究は自然太陽光の熱エネルギーを化学反応に利用するものであるため、天候によって日射量が減少するとき、受熱部(高温反応室)を目標の温度まで加熱させることが困難な場合が生じる。この課題を緩和するため、次の方策を実施する予定である。曇りの日や日射量が少ない冬季等では、自然太陽光の替わりにリニア集光型赤外線加熱方式の炉を用いて反応実験を行う予定である。必要な炉は当研究室が保有している設備を改良して用いる。 また、本研究で提案したCO2分解システムの実現には分解反応の温度を下げることが重要な要素であるため、今後本研究を推進していく中、①より低い温度で使用可能な水素生成触媒や、②CO2と低い温度で反応可能な触媒を活用することで炭素を含んだより安全な物質が生成される化学反応の検討も引き続き行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
太陽集光加熱装置用の部品一部の納期がH24年度の会計処理期間に間に合わなかったため、その分をH25年度に繰り越した。 最終年度(H25年度)内にはH24年度で執行遅れた計画分を含めて遂行する。H25年度に繰り越された予算は主に太陽集光加熱装置の部品費及び赤外線加熱炉の改良費用の一部に活用する。H25年度請求分は主に反応実験に必要な消耗品(ガス、薬品、触媒等)の費用に充てる予定である。 【内訳】①太陽集光加熱装置に用いる部品(直達日射量計+太陽追尾機構用部品費)及び加工費(63万)②リニア集光型赤外線加熱炉の改良費(赤外ランプ制御系統の改良+反応ガス輸送機構の改良)(30万)③CO2及び水分解反応に用いる金属触媒、ガス及び薬品等の費用(40万)④その他(旅費+資料費等)(5万)
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