2013 Fiscal Year Annual Research Report
有害物質の高効率除去と無害化に向けた有機ホスト無機複合触媒(人工金属酵素)の開発
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23710090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松宮 弘明 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (10362287)
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Keywords | アドミセル / チアカリックスアレーン / 環境汚染物質 / 捕集 / 反応促進 / 還元的脱塩素化 / 加水分解 / 起泡分離 |
Research Abstract |
天然の酵素や微生物を環境浄化に利用する試みは多いが、一般に生物分解は操作条件に敏感であり、また汚染物質との接触効率を高めることが難しく、長時間の処理を要するなどの問題点がある。本研究では、これらの諸問題をバイオ技術とは別のアプローチで解決することを考え、酵素様活性を示す新規有機ホスト無機複合体を調製し、これに水中の汚染物質を濃縮した後そのまま分解・低害化する高効率な環境浄化システムの構築を目指した。有機ホスト分子チアカリックスアレーン(TCA)は環状構造を有し、天然の金属酵素の活性中心を再現するのに適した配位様式を取る。研究代表者はCe(IV)TCAニ核錯体がフォスファターゼ様活性を示すことを見出しており、金属イオンのスクリーニングおよび配位性架橋基の化学修飾により、有機リン系農薬に対して更に高い活性を示す触媒ユニットの設計を試みた。しかし、前述のCe(IV)ニ核錯体を上回る触媒活性は発現せず、その触媒効果は限定的であった。一方、界面活性剤が固相担体に吸着するとアドミセルが形成される。アルキルアンモニウム塩系カチオン界面活性剤とシリカゲルから成るアドミセルには水中の疎水性化合物が取り込まれ、更に液下部から気泡を送り込むと液面上に迅速に浮上・回収された。塩濃度が増大すると浮上率は低下したが、アニオン界面活性剤を添加すると改善され、Ce(IV)TCAニ核錯体のアドミセルへの担持も可能であった。一方、アドミセルにFe/Ni粒子を担持した有機ホスト無機複合体をあらたに検討したところ、水中のパークロロエチレンが速やかに捕集され分解した。それぞれ、疎水相互作用、還元的脱塩素化反応に起因すると考えられる。また、アルキルアンモニウム塩の共融混合物を反応媒体として、草本系バイオマスを資源化する際に重要なセルロースの加水分解、更に分解生成物から有価化合物の合成を検討し、反応の進行を確認した。
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Research Products
(1 results)